壮観な渦を巻く鳴門海峡で有名な徳島県鳴門市に、一風変わった美術館があります。その名は「大塚国際美術館」。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の“行ってよかった美術館&博物館ランキング2011”美術館部門で見事1位に輝いて以来、その後、毎年上位にランクインするほどの実力を持つミュージアムです。
大好評の大塚国際美術館、何が人々をそんなに魅了するのでしょうか? 広報担当者にお話を聞きました。
まず注目したいのは、当然ながら展示作品! 西洋絵画1000点を超える作品が展示されています。それらはすべて原画に忠実に、かつ原寸大に再現した作品。つまりレプリカだけが並んでいるのです。しかも、モネやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ピカソといった、そうそうたる顔ぶれ。名だたる名画が一堂に会しているといっても過言ではありません。
次に圧倒されるほどの敷地の広さ! 展示は地下3階から地上2階まで、鑑賞ルート約4キロというスケール。展示方法に趣向を凝らし、期間ごとにイベントも開催。さらにはレストランやミュージアムショップ、庭園などもあり、1日かけて鑑賞を楽しむ、または数日かけて楽しむ方もいるほどです。
そして、入館料の高さが日本一(!)と言われているのだそう。大人3240円という、一瞬目を疑うような数字に入館を少し躊躇(ちゅうちょ)する人もいるとか。しかし、訪れた人の感想は「納得の料金」「それ以上の価値がある」「偽物なのに……、なんて思っていたら大間違い。すごい!」などと賞賛の嵐が起こっているのだとか。
このように、すべてがブラボーな美術館。ここまでの概要でもクオリティの高さをうかがえますが、ここからはもう少し詳しく、その魅力に迫ってみます。
オリジナル作品と同じ大きさで再現され、展示されている作品――。古代壁画から現代絵画、そして、“失われてしまった絵画”まで見ることが可能です。劣化しにくいことが特徴の陶器の板、陶板で作られているため、いつまでも再現したままを残すことができる、言い換えれば、いつ見ても画家が描いた当時に思いを馳せながら鑑賞できるというわけです。
さらに記念撮影もOK! 好きな作品と一緒に写真を残すことができるほか、一部作品は触ることもできるそうです。
では、その傑作全集から、ちょっとだけ作品をご紹介します。
まずは、数々の話題を生む名作、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。修復前と修復後の作品を向かい合わせに展示しているので、単に惚れ惚れと眺めるだけでなく、修復の成果を見比べることもできます。
続いては、ゴッホの「ヒマワリ」。2014年10月に美術館に仲間入りした新作です。ゴッホは花瓶に入った「ヒマワリ」を7点描いていますが、これは現存しない作品。かつて兵庫県芦屋市において、1945年の戦禍で焼失してしまったものの再現なのです。まさに幻のヒマワリですね。
フランスのオランジュリー美術館の代表作ともいえるモネの「大睡蓮」はこちら。「自然光でみてほしい」というモネの願いをかなえるべく、なんと屋外に展示! これも陶板だからできること。見応えのある展示に歓声の声が絶えないそうです。
約25カ国、190余りの美術館にある名画が並び、ひとつの場所で世界の美術館を巡って鑑賞できます。時間もお金も省エネでき、本では味わえないダイナミックさを肌で感じられるのは大きな魅力ですね。
さらに、展示方法にこだわりが! そのひとつは、環境空間ごと立体再現した展示室です。おいそれと現地に出かけることができない海外の礼拝堂や古代遺跡などを、日本にいながらにしてその場に行ったような迫力を体感することができるのです。
そして、地下3階から年代別に見ることができる系統展示や、時代に関係なくテーマに沿って展示しているコーナーもあります。
そして、イベントも常時開催。なかでも、テーマを設けて催されるイベントは、内容とネーミングの面白さで各メディアにもよく取り上げられています。
現在は来年3月31日まで、“悪(ワル)”をテーマに「悪(ワル)の美術 アートもちょっとワルが魅力的」と題した催しを開催中です。どんな時代にも場面にも登場するワル。ストーリーを盛り上げる名脇役のワルにスポットを当てた作品が展示され、この期間だけのランチやスイーツ、グッズも用意しているそうです。
このほかにも、多数の企画を開催しているとのこと。大作を鑑賞したあとに、クスッと笑えるイベントで楽しむのもいいですよね。
いかがでしたか? 見事なまでに完璧な内容で、訪れた人をトリコにしてしまう大塚国際美術館。ご紹介したのは、ほんの一部です。その全容は、みなさん自身の目で確かめてほしいと思います。
※写真は全て大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです。
大塚国際美術館
徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内
tel:088-687-3737