1983年に連載が始まり、日本にグルメブームを巻き起こした漫画『美味しんぼ』。この作品の筋となるのが、主人公の山岡士郎の「究極」とライバルであり実父である海原雄山の「至高」との対決。作中では何度も料理対決を行った究極と至高ですが、その対戦成績はどのようになっているのでしょうか?
■やはり雄山の壁は高し……!?
究極と至高の対決が始まったのはコミックス15巻。この最初の対決からお互いの後継者に担当を引き継ぐ102巻までの対戦を調べてみました。
●「卵の前菜対決」……引き分け
記念すべき1回目は「卵の前菜」がテーマでした。最初の対戦では至高側の勝利となりますが、審査員の唐山陶人から物言いが入り再勝負。その結果引き分けになりました。
●「野菜対決」……引き分け
お互いキャベツとカブの料理を作り、キャベツは至高が勝ち、カブは究極が勝ち、引き分けとなりました。この勝負では山岡さんに雄山が助け舟を出しています。
●「餃子対決」……引き分け
至高側が勝利と思われた瞬間、究極側が意表を突く黒砂糖入りの甘いギョーザを出し引き分けました。
●「エイ料理対決」……引き分け
トラブルをきっかけに究極と至高で「エイ料理対決」をすることになります。お互い似たようなお皿を使ったことで和解を勧められましたが固辞しています。
●「生肉の料理対決」……至高側の勝利
至高側の調理人の裏事情を知った山岡さんがあえて負けました。
●「蒸し焼き料理対決」……至高側の勝利
至高側がほうらくでアワビの蒸し焼きを作り、その圧倒的な味に究極側は敗北しました。
●「カキ料理対決」……究極側の勝利
究極側はカキに熱した油をかけてうま味を引き出す、中華の技法を使った料理を出し勝利しました。
●「豆腐対決」……究極側の勝利
豆腐料理で対決することになりますが、究極側のスパイまがいの行為があるなどいざこざに発展。最後は雄山の気まぐれで究極の勝利となります。
●「カツオのたたき対決」……至高側の勝利
究極側はより肉質を楽しめる切り方にしたものを出し、至高は洋風にアレンジしたものを出しました。結果、至高の勝利でした。
●「カレー対決」……引き分け
知人のカレーショップを巻き込んだ対決になります。究極はインドのカツオ節を使い、至高はインドの梅干しを使ったカレーを披露し、引き分けとなりました。
●「スパゲティ対決」……至高側の勝利
日本人好みのスパゲティをテーマに対決し、シンプルなニンニクのスパゲティとトマトソースのスパゲティを出した至高が勝利。
●「菓子対決」……引き分け
両者共に「柿」を使ったお菓子を披露。どちらも繊細な見事な味として引き分けでした。
●「披露宴料理対決」……引き分け
披露宴での料理対決となり、究極は新郎新婦が手摘みした野草料理、至高は新郎新婦の家のお総菜を出しました。
●「長寿料理対決」……究極側の勝利
究極側が勝利。栗田さんがサンゴの精を見るなど不思議な要素のあるエピソードでした。
●「サケ料理対決」……至高側の勝利
塩焼きや照り焼き、サケの揚げ餅などを出した至高側が勝利しました。
●「鍋対決」……至高側の勝利
この対決ではスッポン鍋やアワビのシャブシャブ、松葉ガニの鍋などを出した至高が勝利。「最大限にもてなしたいという気持ちが表れている」とのことでした。
●「豆腐料理対決」……引き分け
再び豆腐料理の勝負をすることになった両者。紆余(うよ)曲折あり、究極と至高が同じ料理を出すことになり引き分けました。
●「オーストラリアの食材を使った料理対決」……引き分け
ウサギを使った料理の究極と、サメを使った料理の至高でしたが引き分けとなりました。
●「サラダ対決」……引き分け
究極が手の込んだサラダで高い評価を受けますが、至高が鉢植えのトマトをそのまま出し、その新鮮な味とインパクトで審査員をとりこにします。微妙な判定の引き分けでした。
●「サウス・オーストラリアの食材対決」……至高側の勝利
100年もののポートワインを使ったカンガルー肉のローストで至高側が勝利。究極はサメ肉の天丼でした。
●「大根を使ったおかず対決」……引き分け
究極はぬか漬けの大根を使った「大根おろし」など、至高は牛肉のだしを吸わせた大根のステーキなどを披露。結果は引き分けになりました。この話では山岡さんが一時味覚障害になっています。
●「アボリジニー料理対決」……引き分け
オーストラリアのアボリジニー料理で戦うことになり、究極はトカゲ肉、至高はワニ肉を使いました。
●「オーストラリアの夢をテーマにした対決」……引き分け
「オーストラリアの夢」というふわっとしたテーマの対決。究極が「非汚染」、至高が「多分化主義」という題材で料理を披露しました。
●「おせち料理対決」……究極側の勝利
この対決では各地の郷土料理を出した究極が勝ちました。至高は日本の悲しい食卓事情を表した料理を出し、インパクトは抜群でした。
●「朝食対決」……究極側の勝利
この対決では栗田さんが大活躍。山岡さんの母(雄山の妻)の料理を調べ、披露しました。このときに出したできたてバターの強いインパクトが勝利の要因でした。
●「オーストラリア・クイーンズランド料理対決」……引き分け
再びオーストラリアを舞台にした対決。共にダチョウを使った料理などを出し、引き分けでした。
●「結婚披露宴対決」……結果なし
究極と至高のメニューの完成発表の一環として山岡・栗田、近城・二木のダブル披露宴で対決。結果発表はありませんでした。
●「オーストラリア・ニューサウスウェールズ対決」……引き分け
至高側がイモ虫のポタージュを出すなどインパクトある対決でしたが、引き分けになりました。
●「水対決」……引き分け
水をテーマにした対決になり、究極はスズキを新鮮な水で締めた「洗い」を、至高はバラの花にたまった朝露を出しました。
●「低予算披露宴対決」……至高側の勝利
中本警部たちの合同結婚式での対決。安く売られている磯の小魚を丁寧に処理して出した至高が勝ちました。
●「日本全県味巡り・大分県対決」……引き分け
ここから地方をテーマにした対決がスタート。1回目は引き分けでした。
●「チーズ対決」……究極側の勝利
「日本人にいかにチーズを楽しんでもらえるか」がテーマ。日本酒とチーズをうまく融合させた究極側が勝利しました。
●「日本全県味巡り・宮城対決」……究極側の勝利
バラエティー豊かな献立だった究極側が勝ち。至高側の敗因は「お米ばかりに気を取られた」とのこと。
●「日本全県味巡り・大阪対決」……至高側の勝利
茶粥やウナギの捨てる部分を使った半助鍋を出した至高側が勝利しました。
●「日本全県味巡り・山梨対決」……至高側の勝利
この対決ではイノシシ鍋やシカ刺しを出した至高が勝利。究極は取材中に出会った甲州ワインとの相性に気を取られて負けました。
●「イタリア料理対決」……究極側の勝利
究極側がお米をうまく使ったことが評価され勝利しました。この話では雄山ではなく美食倶楽部の若き料理人・岡星良三に料理を一任しました。
●「おむすび対決」……至高側の勝利
両者共に甲乙つけがたい評価でしたが、素人の主婦におにぎりを握らせたことが勝因となり至高が勝利。
●「日本全県味巡り・富山対決」……引き分け
富山対決は引き分けでしたが、やや至高の方が優勢のような雰囲気。この対決では東西新聞社・富山支部の社員の「恋模様」も描かれました。
●「日本全県味巡り・高知対決」……至高側の勝利
究極側の珍しい岩茸を使った料理などを披露しましたが、郷土の風習や文化をより理解していた至高側が勝利となりました。
●「器対決」……至高側の勝利
究極側は魯山人の器で統一しましたが、そのこだわりが敗因となりました。
●「医食同源対決」……引き分け
「医食同源」をテーマにした対決。究極は「料理の楽しさ」、至高は「序」「破」「急」を考えた構成の料理を出しました。
●「日本全県味巡り・長崎対決」……至高側の勝利
究極は「長崎の異国情緒」を、至高側は「国際友好」をテーマにした料理を披露。国際友好の方が長崎により合ったテーマだとして至高が勝ちました。
●「日本全県味巡り・青森対決」……究極側の勝利
究極側は青森には日本人の味の源流があると主張し、料理を披露。そのテーマが評価され、勝利しました。
●「相手を喜ばせる料理対決」……引き分け
山岡さんと雄山の集大成といえる対決。「朝食」「昼食」「晩餐」の三つのパートで対決しましたが引き分けとなりました。この対決の後、山岡さんと雄山は和解します。
対戦成績を調べてみた結果、
・究極……9勝
・至高……14勝
・引き分け……20回
・結果なし……1回
このようになりました。究極はもっと負けているようなイメージがありましたが、意外と頑張っているようです。
現在は究極側は山岡さんの後輩の飛沢周一、至高側はイタリア対決にも登場した岡星良三に担当が引き継がれています。山岡さんと海原雄山はサポートする立場になりましたが、和解した今後もたまには対決が見られるといいですね。
※現在『美味しんぼ』は休載中
(中田ボンベ@dcp)