冬になると、インフルエンザなど感染症の流行が気になるが、各地ではRSウイルス感染症が猛威をふるっているという。今月1日に国立感染症研究所が公開した11月16~22日期間の感染症発生動向調査によると、1週間あたりの「RSウイルス感染症」の患者が2015年で最多となった。先月22日までの1週間で新たにRSウイルス感染症と診断された患者数は6,687人で、昨年の同時期に記録された5,151人を大きく上回っている。
都道府県別の患者数では、大阪府が580人ともっとも多く、次いで北海道499人、愛知県354人、東京都335人と続き、大都市を中心に感染が広がっているようだ。毎年、インフルエンザに先駆けて秋に急増、年末にピークに達したあと、翌年の初春まで流行が続くと予想されている。今回は患者数が増える冬に知っておきたい「RSウイルス感染症」にスポットをあてる。
■ほぼ全ての乳幼児に感染する病気
RSウイルス感染症は、インフルエンザウイルスなどとともに、毎年、冬になると流行する代表的な呼吸器感染症の一つである。乳幼児が感染する頻度がとても高く、生後1歳までに50%以上、2歳までにはほぼ100%の確率で感染し、その後も一生、再感染を繰り返すという特徴がある。乳幼児だけでなく、抵抗力が低下した高齢者への感染も危険で、最悪の場合は死に至るケースもあるので注意したい。参考:http://bit.ly/1NQRJ72
■手すりやドアノブから間接的な感染も
感染経路は、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫感染のほか、ウイルスが付着した手で鼻や口に触れるなどの接触感染がある。ウイルスは手すりやドアノブだけでなく、子どもが遊ぶおもちゃなどに付着することも多いので、消毒などの処置を取って予防に気を配りたい。
■風邪のような症状から「ゼイゼイ」してきたら感染の可能性
感染すると、鼻水、咳、発熱などの風邪に似たような症状があらわれる。大半は1週間ほどで回復するが、そのうち3割ほどは、気管支や気管支の最末端部分となる細気管支にまで炎症を起こし、呼吸の際に“ゼイゼイ”という音が鳴るなど症状が悪化することも。特に生後半年以内の赤ちゃんは気管支が成熟していないので、ぜんそくを発症する危険がある。
生後2~3歳までに多くの人がかかるが、この時点では誰が遺伝的にぜんそくになる素因を持っているかは不明だ。RSウイルス感染症が軽度であれば、あまり神経質になる必要はないが、症状がひどい時や長引く時は病院を受診して適切な治療を受けることが大切だ。また、大人でも遺伝的にぜんそくにかかりやすい人は、注意したほうが良さそうだ。
■有効なワクチンや特効薬はない
RSウイルス感染症は、保育所などで施設内流行を生じやすいので、注意が必要だ。RSウイルス感染症にはワクチンがないため、今のところ予防する方法がない。手洗い、うがいをまめに行って家族内感染や再感染を防ぐように心がけたい。
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(天城毅彦)
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)