【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は15、16両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、リーマン・ショック後の未曽有の金融危機に対応して導入した事実上のゼロ金利を解除することを決めた。政策金利を17日付で0.25%引き上げる。利上げは2006年6月以来9年半ぶりで、政策を総動員した異例の緩和策は、ようやく正常化に向かう。
イエレン議長は記者会見で「利上げは米経済に対する自信の表れだ」と強調。同時に、追加利上げは「緩やかに」進めると述べ、経済情勢に応じて慎重に金利を引き上げていく考えを示した。
今回の決定で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は0〜0.25%から0.25〜0.5%に引き上げられた。決定は10人の全会一致。
会合後に発表された声明は、利上げの理由について「雇用は今年大幅に改善し、インフレ率が中期的に目標の2%に向かうとの合理的な確信が得られている」と説明。景気拡大が続くとの見通しに加え、金融政策の効果が表れるには時間を要することも考慮したと述べた。
また、利上げが軌道に乗るまでは、量的緩和策で購入した米国債などの保有規模を維持する方針も明確にした。
米経済に関しては「緩やかに拡大している」と評価した。ただ、インフレは長期見通しが低下しており、目標を下回っている状況などを考慮すれば、追加利上げは緩やかに行わざるを得ないとした。