戦闘ヘリコプター導入をめぐり、防衛省が途中で発注を打ち切ったため初期投資の費用回収ができなくなったとして、富士重工業が国に約350億円の支払いを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は16日付で国側の上告を退ける決定をした。全額の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。

 防衛省は2001年、戦闘ヘリ「AH64D」(通称アパッチ・ロングボウ)62機の導入を決定。生産を担当した富士重側は米ボーイング社へのライセンス料など初期費用を支払ったが、同省は02〜07年度に計10機を調達しただけで発注を停止した。

 防衛省が富士重側に初期費用を支払うとの合意があったかが争点で、一審東京地裁は請求を棄却。二審は「法的な拘束力がある合意は成立していない」とする一方で、「防衛省と装備品の受注業者との間では、調達終了までに初期費用を支払うことが当然の前提とされていた」と指摘し、国の責任を認めた。

 防衛省の話 国の主張が認められず、厳しい判断が示されたと受け止めている。