「モンスター社員をうつ病にして退職に追い込む」という過激な内容をブログに書き、炎上状態となった愛知県の社会保険労務士に対し、ネット上で懲戒処分を求める署名活動が始まっている。
ユーザーが署名を募ることができるサイト「change.org」で、「厚生労働大臣。〇〇〇〇(編注:氏名)社会保険労務士を速やかに懲戒してください。」というタイトルのページが12月15日までに出現。発起人は過労死を防止する運動に取り組んでいるNPO法人「ディーセントワークへの扉」理事長の飯塚盛康さんだ。
「犯罪に近い行為であり、絶対に許すことができない」署名ページでは、この社労士が11月24日付でブログに投稿していた「社員をうつ病に罹患させる方法」という投稿を問題視している。
「このような行為・言動は、社会保険労務士法第一条に定める『事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資する』という社会保険労務士制度の趣旨を没却するものであります」
社員が自殺した場合に備えて、うつ病と自殺の因果関係を否定する証拠を用意することを推奨する書き込みについても、「社会保険労務士の信用又は品位を害するもの」と指摘。この社労士の説明した方法でうつ病に罹患したり、自殺したりした人がいれば「犯罪にも近い行為であり、絶対に許すことが出来ません」と強く糾弾している。
そして、世の多くの社労士が健全な労務関係を築くことに心血を注ぐ中、この社労士が何の懲戒を受けないのは「ブラック社労士」を容認することであり、「社会保険労務士のモラルハザードや社会的責任の低下を招くことは必至」と書いている。
「結果的にブラック企業の蔓延、助長に繋がり、ひいては日本の雇用情勢をより不安定にし、社会不安を増加させることになります」
その上で、厚生労働相に対し、件の社労士を「速やかに懲戒してください」と要求。愛知県社会保険労務士会と全国社会保険労務士会連合会に対しても、「会員資格について厳正な処分を行ってください」と求めている。
社労士業界からも批判相次ぐ「同じような目で見られると困る」この署名ページには、16日19時現在までに152件の署名が寄せられており、
「日本企業の健全な経営のためにも、ブラックビジネスに手を染め、非人間的な発言を繰り返すモンスター社労士の処分を求めます」
「労働者を守り、経営側に健全な労働環境を守らせるのが社労士の役目のはず。あきれて言葉もない」
「人を死に至らしめる事が楽しいなんて、社労士以前に人として異常です」
などといったコメントが寄せられている。
では一体、どこまで処分は進んでいるのだろうか。キャリコネニュースが12月2日に取材した際には「厚労省と情報共有しながら判断する」と語っていた愛知県社会保険労務士会の担当者は、「厚労省が調査すると言っているので、こちらとしては具体的なことは言えない」と語る。
ただし、2日時点では数件だった懲戒を求める問い合わせは、16日までに約30件寄せられていると明かす。一般の人からの問い合わせがほとんどだが、同業である他県の社労士からも数件寄せられているという。
「自殺してもらってもいい」と書いたフェイスブックは非公開に「やはり『社労士として同じような目で見られると困る。愛知県社労士会はしっかり処分して欲しい』という内容が多いです」
厚労省労働基準局監督課の担当者は「個別の事案には答えられませんが、社労士に関する不正情報が寄せられれば適宜事実関係を調査しています」と述べるにとどまった。
問題の社労士は12月4日までに全ブログを削除。また、以前は公開状態で、
「部下をうつにさせるキーワード。ぜひお試しください」
「モンスター社員をうつにするのは楽しいですよ。自殺してもらってもいいのかもしれないです」
などと投稿していたフェイスブックも、全ての投稿が非公開となっている。
あわせてよみたい:すご腕社労士のトンデモ主張「うつ社員は捨て去るべき」