「若者のテレビ離れ」食い止めるカギはSNSとの密な関係か | ニコニコニュース

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、テレビをはじめとしたメディアとSNSの今後を考察。

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 放送作家という仕事柄、初めて会う人には「いつも見ているテレビ番組は?」と尋ねるのが癖になっている。

 が、ここ数年、「ない」という答えの多いこと、多いこと。特に若い人たちは、「ドラマは何も見ていない」とか「毎週決まって見る番組はない」と、サミシー答えである。

 若者の“〇〇離れ”というワードの中でも、「クルマ離れ」とか、「お酒離れ」というのは、「もともと、興味のないもので、“離れ”たワケではない」という意見がある。が、テレビに関しては間違いなく、「以前は見ていたのに離れてしまった」代表的なものだろう。

 どうすれば若い人たちにテレビを見てもらえるのか、どうしたら興味をもってもらえるのか…と切実に考えていた私に強烈な光を与えてくれたのが12月23日にオンエアされる『インスタ女子部』(テレビ愛知)だった。

 知り合いの制作スタッフとの初回会議で紹介されたのがソーシャルメディアブランディングエージェンシー『株式会社ドレスイング』CEOのナカヤマン。氏だった。

 デジタルプロモーションのクライアントは、GUや、GUCCI、クリニーク、女性誌の『美的』や『ViVi』など、ファッションやビューティ関連。これまでにもアプリを使ったり、イベントコンテンツをデジタルを使って広げてきたりした氏。昨今は、特にインスタグラムを使ったPRの相談が多いという。

 氏を業界で一躍有名にしたのは、フォロワーが何万人も何十万人もいるカリスマ・インスタグラマーのモデルや女性タレントを起用した「GUタイムライン」である。衣食住全般が記されるブログや、ちょっとしたつぶやきが人気のツイッター、友達自慢ともいうべきFacebookとは異なり、私服公開や、その日のコーデといったファッションにまつわる画像が圧倒的に支持されているインスタグラム。芸能人でも水原希子やローラ、渡辺直美ら、ファッショニスタにフォロワーが多いことでもわかろう。

 で、GUタイムラインは、GUのアイテムを一つ以上入れつつ、島袋聖南はじめカリスマ・インスタグラマーが私服コーデを公開するもので、シーズンの推しアイテムをユーザーが購入するときの大きなきっかけになっているという。

 そのナカヤマン。氏がテレビ番組の制作会議に現れたのは、カリスマ・インスタグラマーの日常やファッションポリシー、恋愛感などを“トーク番組”にするからだ。

 MCは、2015年、個々にブレイクしたスピードワゴン。この番組をきっかけに、小沢一敬はインスタグラムを開始したうえ、。カリスマモデルとしても女子人気が高いインスタグラマーらと、ファッション誌『NYLON』の表紙を撮影。まず雑誌とのコラボが成立した。

 続いては、Facebookが『インスタ女子部、宣伝部』なる告知番組を動画配信。

 もちろん、出演者の、島袋聖南、るうこ、野崎智子、荒井愛花、ゴールドエリカ、山本奈衣瑠、長澤メイらのインスタグラムやツイッターでも同番組収録のもようや『NYLON』の表紙撮影の様子が続々アップされていた。

 ナカヤマン。氏は言う。「僕が見ている限り、テレビとSNSとのコラボはまだまだ全然できていない」と。

 確かにそうかもしれない。テレビ界で「インタラクティブ」という言葉が横行して久しいが、やっていることといったら、せいぜい番組への意見がファクスやメールからツイッターに変わったくらいである。

 テレビ、ラジオ、雑誌、新聞は、互いにコンプレックスとジェラシー、リスペクトといった複雑な思いを抱きながら今日まできた。

 そこに現れたSNSなるものについて既存のメディアは、どこかで「負けるハズがない」とタカをくくっていたところがあったように思う。特にテレビ局の年配者や上層部は、いまだにSNSの台頭に危機感を抱いていないように私には見える

 ちょっとだけ救われるのは、ナカヤマン。氏のような人たちが、いまだにテレビというメディアに対し、魅力をもっていてくれることだ。

 もちろん、そこにはSNSとのコラボが必要不可欠であり、ナカヤマン。氏は「できることはまだまだたくさんあるし、メディアと組み合わせが一つ増えるだけで、可能性が広がるので、おのずと予算取りも変わってくる」と、テレビと紙媒体、SNSとのコラボが大きなビジネスチャンスにつながると断言する。

 まずは、12月23日の『インスタ女子部』をチェックしていただきたい。今回は20代の女性向けだったが、SNSは、アラフォー、アラフィフぐらいまでなら大半がやっているハズ。たとえば小学館の女性誌だったら、『Oggi』『Domani』『Precious』などがテレビ番組やSNSと本格的なコラボをしたら、また新たな展開になると思われる。

 とにかく、テレビ関係者たちは、もうちょっとSNSを勉強すべきである。