「カミソリ倶楽部」が約7年もの歳月を費やした書籍、『THE WORLD BARBER TOUR』が完成した。シェービングの文化が浸透していなかった戦後の日本で、カミソリの普及に大きく貢献してきた「カミソリ倶楽部」。『THE WORLD BARBER TOUR』は、「カミソリ倶楽部」代表の竹内康起が、「地域に根付いたバーバーの事情を知れば、世界の現在が見える」と、構想を描いたことに端を発したプロジェクトの一環だ。
2008年から取材を続け、7年間で総移動距離は60,000km、世界38カ国、157のBarberを訪れ、出会った理髪師の数は500名を超えている。7年という歳月で蓄積した内容は、非常にユニークであり、同時に文化史としての価値もある。
「世界の縮図を覗いてみたい、誰しも一度はそう思ったことがあるでしょう。整然と記録された写真や言葉ではなく、生の息遣いを感じる。衣・食・住を知ることがそれに直結すると考えました。とりわけBarberには、気候・宗教・民族など、文化の集約点の如く、人々の生活を垣間見る光景が広がっていました」(本文より抜粋)
「私達は約7年を費やし、世界中を旅しました。そして、沢山の人々に触れる中、複雑な感情が沸き立ち、幾つものメモを残しました。情報だけではなく、感情まで映し込んだ手記がより読者の想像力を喚起し、ページを捲る度にまるで実際に旅をしているような気分にさせます」(本文より抜粋)
世界的な不況や紛争などに翻弄されながらも、懸命に生きる理髪師の表情は、風土や文化の多様性を物語り、幾つものドラマに接することができる。
また、『THE WORLD BARBER TOUR』を読み進めるうえでのコンダクターとして架空の人物が設定されており、読者は疑問や感想を自らに置き換えて楽しむことができる。高画質の写真と個性的なイラストとの調和も、飽きさせないアクセントとなっている。
本のデザインも魅力のひとつ。理髪店の看板であるサインポールのシルエットがさりげなく写しこまれているなど、随所にBarberをオマージュしたデザインの遊び心を楽しむことができる。
■『THE WORLD BARBER TOUR』