12月15日放送、「ニュースウォッチ9」(NHK)では今年の漢字。日本漢字能力検定協会が一般から募集し、13万通あまりの中で最も多かった漢字を選んだ。安全保障関連法案の採決に国民の関心が集まったことや、世界各地で起きたテロや異常気象による命の安全、などで不安になったことがあげられた。清水寺の森清範氏は「命に対する不安が安の字になったのではないか。すべて払拭し、来年は安心・安全な社会を作っていってほしいという総意」だと語った。
これまでの今年の漢字は、
2014年「税」17年ぶりの消費税増税と生活環境の変化について。多くの人が税金に関心を持った。
2013年「輪」オリンピックの招致成功。楽天イーグルスの優勝により東北地方に歓喜の輪が作られた。また災害による支援の輪が広がったことに対して。
2012年「金」ロンドンオリンピック最多のメダルラッシュ。山中教授ノーベル賞金字塔。932年ぶりの金環日食や21世紀最後の金星の太陽面通過。消費税や生活保護の問題。
2011年「絆」東日本大震災。国内外の自然災害により家族や友人といった身近なかけがえのない存在を改めて感じる。なでしこジャパンの活躍。
2010年「暑」史上観測1位の猛暑や残暑で熱中症にかかる人続出。野菜が高騰し、熊などが人里に出没。暑い中から全員が帰還したコピアポ鉱山落盤事故や1万度の突入温度から帰還したはやぶさなども反映。
2009年「新」民主党の発足。オバマ大統領就任などの政治の一新。裁判員制度や高速道路料金割引などの新制度スタート。新型インフルエンザの流行、競泳の新記録ラッシュ。イチローの9年連続200本安打などの新記録。
2008年「変」オバマ大統領のチェンジ。株価暴落や円高ドル安などの経済の変化。食の安全に対する意識の変化。地球温暖化問題の深刻化。変化が多かった年。
2007年「偽」不二家をはじめ白い恋人、赤福餅などの食品表示偽装が次々発覚。年金記録の問題化。防衛省の汚職の問題。発掘あるある大辞典の捏造問題。
2006年「命」悠仁親王の誕生。小学校、中学校の自殺問題。北朝鮮の核実験。臓器移植事件、医師不足による命の不安。
2005年「愛」愛知県で愛・地球博の開催。清子内親王と黒田さんの結婚。福原愛の活躍。あいちゃんという愛称の女性の活躍が目立った。親子で殺人など愛のない事件。
2004年「災」新潟県中越地震発生。福井豪雨。台風の連続上陸。浅間山の噴火。美浜発電所の事故や三菱リコール隠し。
となっている。大きく世間を騒がせた出来事が複数ある場合に、漢字が選ばれるようだ。例えば、世相を反映してなのか、マイナス面をクローズアップすることが多い。「新」や「愛」などはポジティブな漢字だが、後は「災」や「税」など、人から敬遠される言葉が選ばれることもよくある。アンケートで選ばれるため、世相を反映したものが多い。
経済指標とは連動しているのだろうか。2011年は絆だったが、この年は景気の底堅さを示唆している。2012年の金は、景気の回復基調を象徴している。2014年の税はそのまま、増税に対する国民の関心の高さを表している。景気のアップダウンと漢字のポジティブ/ネガティブの連動はないようだ。「金」に至っては、2012年と2000年に二度選出されており、お金に対する意識の高さを伺える。ちなみに2012年の金は、ロンドンオリンピックの金メダルラッシュもかかっている。
今年の漢字「安」だが、安保法制、マンション傾斜問題に対する不安、イスラム国による日本人拘束事件やパリ同時多発テロ事件を受けての安らぎと平和を願う気持ち、TPPにまつわる食の安全と安心への関心の高まり、お笑い芸人・とにかく明るい安村のギャグ「安心して下さい。はいてますよ」の流行なども理由として入った。今年の漢字は投票制のため、数が多い漢字が選定される。また、漢字を使う国々で同様の行事が広まっている。中国、台湾、シンガポール、マレーシアなどで今年の漢字イベントが行われている。