「できの悪い弟を持つと、兄貴は心配なんだ」――このセリフにピンときた人はいるだろうか。国民的漫画でありテレビアニメにもなっている「ONE PIECE」の中で、主人公・ルフィの兄・エースが発した言葉である。不躾な言葉の中に弟を想う気持ちがにじみ出ていて、心にじんとくるものがある。この「ONE PIECE」は個性的なキャラクターが数多くいることも魅力の1つなのだが、実はその中でもエースの人気は極めて高い。
このように、主人公に限らずファンから一目置かれるアニメのキャラクターは意外に多くいるようだ。「教えて!goo」に寄せられた次の質問を見てみよう。
この質問タイトル通り、質問者は、みんなの尊敬するアニメキャラクターを「アニメキャラに尊敬の念を抱いた事はありますか?」と、知りたがっている。
■キャラの人間性が人気のカギ
この質問に寄せられた回答を見ると、尊敬するアニメキャラクターは、主人公だけではなく、一般的には脇役とされるキャラも多いようだ。
「男性だと『北斗の拳』のトキ、女性だと『ペリーヌ物語』のペリーヌ・パンダボワヌ」(mshr1962さん)
「『シティハンター』冴羽りょうです。(中略)…これほど人間臭くもイイ男はいないと思います」(Marennesさん)
「映画『ルパン三世 カリオストロの城』の銭形警部は、メチャメチャかっこいい上に、尊敬できる男ですね」(FEX2053さん)
どうやら尊敬するアニメキャラクターというのは、単なる表面的な憧れというよりもその人間性に魅かれるところが大きいように思われる。トキは自らを犠牲にして病に倒れ、ペリーヌは自分の手で幸せをつかむために努力した。また、冴羽りょうは辛い過去を有するにもかかわらずいつも温かい眼差しを持っているし、銭形警部の同映画での行動と言葉には確かにハートが感じられた。やはり、キャラクターの人間的な魅力が、尊敬や人気をもたらす要因なのだろう。
■死んだキャラにはお葬式まで!?
ところで、「北斗の拳」のトキは作中で確か死んでしまったはず。そう言えば、「ONE PIECE」のエースも作中で弟を助けるために壮絶な死を遂げ、死後さらにファンから愛されているようにも感じる。作中で亡くなったキャラクターというのは、基本的にはその後は作中に登場しないのだが、それでもファンから愛され続けているものがあるようだ。しかも、中にはお葬式まで出してもらっているキャラクターもいるらしい。これらの葬儀について詳しい、心に残る家族葬の葬儀アドバイザーに話を伺った。
「実際にお葬式が行われ、確実な命日が設定されているキャラクターとして最も有名なのが、『あしたのジョー』の主人公・矢吹丈のライバル・力石徹でしょう。1970年3月24日には講談社内で実際にお坊さんを招いての葬儀が行われ、原作者のちばてつやさん及び梶原一騎さんも参列したほか、列席したファンは800名にも及びました。戒名もあり、『功徹院清精道観居士』とされています」
なんと、戒名までいただいたアニメキャラクターがいるとは驚いた。相当ファンに愛されたキャラクターだったことが窺える。
「さらに最近では、『北斗の拳』の登場人物で主人公・ケンシロウのライバルであるラオウの葬儀として『ラオウ昇魂式』が、映画の公開日前の2007年4月18日に高野山東京別院で行われています」
ラオウと言えば、前出のトキの兄でもある。暴君のイメージが強いラオウであるが、子どもの頃に二人が崖の下に突き落とされた時、弟トキを担いで片手で崖をよじ登ったのもラオウであった。こうした強い意志と想いを併せ持っているところが、死んでも愛され続ける所以なのだろう。天国でトキと再会したラオウは、きっとこう言うだろう。――「体の弱い弟を持つと、兄は心配なのだ」と。
●専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー
(長澤正嘉)
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)