君が代不起立処分、裁量の範囲=「減給重すぎず」―教諭の訴え棄却・大阪地裁

 卒業式の君が代斉唱で起立せず減給処分とされた大阪府立支援学校の奥野泰孝教諭(58)が、府に処分取り消しと慰謝料を求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。内藤裕之裁判長は「学校の規律を保持する必要性から減給処分が重すぎるとは言えず、裁量権を逸脱していない」と述べ、訴えを棄却した。

 府は2011年、大阪維新の会の主導で教職員が式典で君が代を起立斉唱すると定めた条例を全国で初めて制定。奥野さんは13年3月の卒業式で起立斉唱せず、府教委は職務命令に違反したとして減給1カ月の懲戒処分とした。

 内藤裁判長は「学校式典での起立斉唱は、慣例上の儀礼的な所作の性質を有する」と述べ、府条例は思想・信教の自由などを保障した憲法に違反するとの原告の主張を退けた。

 その上で、奥野さんが職務命令に違反しただけでなく、受け付け業務に戻るよう指示されたのに拒否したと指摘。「積極的に式典の秩序や雰囲気を損なわせようとした」と判断した。

 奥野さんは判決後の記者会見で「怒りがこみ上げてくる。立たなかったことで何ら(卒業式を)妨害していない」と反論し、控訴を検討する考えを示した。