広州日報は21日、広東省広州市内で19日と20日に開催された農業関連資材の見本市「第4回華南(広州)農資博覧会」で、「ネズミの避妊薬」が注目を集めたと報じた。
中国ではネズミによる農業生産への被害が深刻だ。川の堤防に穴をあけて住み着くことで、洪水発生の危険が高まっている例もあるという。都市部では、住宅内でネズミがゴム製のガスホースをかじることで、ガスが漏れて爆発する事故が時おり発生している。
広州日報によると、伝染病媒介生物と鼠害対策の第一人者である汪诚信氏は、「殺鼠剤ではネズミを全滅させられない」と強調。まだ、「天敵を利用」したほうがよいとの考えだ。
しかし、「天敵利用」にも問題がある。例えば猫だ。中国には「猫1匹で3軒がしずまる」との言い方がある。猫を飼えば、両隣の家を含めてネズミがいなくなるということだ。ところが現在は猫の「ペット化」が進み、猫1匹では「1軒がしずまるかどうかもあやしい」状況という。
国家林業局でネズミ被害の対策の責任者である張春美氏によると「小型猛禽類の場合、数平方キロメートル、大型猛禽類なら数十キロメートルのネズミを退治してくれる」という。ところが、地上で殺鼠剤を用いるので、殺鼠剤を食べた後のネズミを猛禽類が食べ、その猛禽類まで死んでしまう場合が発生する。
汪氏は、「とにかくネズミを殺す」という伝統的考えは「誤解」と主張。「子を産ませない」ようにすることが、最もよいとの考えだ。
用いたのは中医薬(漢方違)の考えも参考に、「ガジュツ」という植物の根から抽出した成分だ。餌に混ぜて食べさせれば、メスのネズミの子宮の機能を異常にして、不妊または妊娠しても流産してしまう状態にするという。
これまで、延べ1万ヘクタール以上の耕作地を用いて行った実験では、ネズミの受胎率を64%下降させたという。張氏は、100%天然成分であり、土壌や水の汚染も引き起こさない点でも、新たに開発された「ネズミの避妊薬」は極めて優れていると評価した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)