もちろん、メールだけで済ませるのは論外だが、「謝罪は迅速な対応が肝心。署名捺印入りの正式な謝罪文書を郵送するより、スピーディーなメールのほうが有効なので現在では失礼にはなりません」(マナーコンサルタント 西出ひろ子氏)。
謝罪メールの問題点は文書データとして残ることだ。「いくら表現に気を使っても言葉の受け取り方は百人百様。ちょっとしたニュアンスに気分を害し、事態がこじれることもあります」とビジネスマナー講師の古谷治子氏。それを防ぐためには、発生しうる謝罪を前もって想定し、何パターンかのひな型を作っておくことだ。言葉や表現には細心の注意を払い、突っ込みどころをなくしておく。
1.謝罪は「導入」と「締め」に入れる。2.事態の経緯は事実を時系列で。3.できない約束はしない。4.説明責任(トラブルの原因説明、対応方法、企業姿勢、今後に向けての対策)。この4点に留意して書くことが重要。
ひな型を修正して送るだけでなく、相手に対する誠意を表す言葉を入れる。また、送信前に文書チェックを何回もすることも大切。件名が入っているか、名前、数字に間違いはないか。上司や先輩にも確認してもらってから送信する。
同じ意味でも表現の仕方、言葉の言いまわしによって相手は気分を害することがある。左に示したように、相手を不快にさせない、トラブルに対して誠実な対応をしている印象を持たせるポジティブライティングを身につけておくこと。
※『マネジメントサポート・テキスト』(古谷治子)より
【1】肯定的に伝える
(×)対応いただき、すいません
(◯)ご対応いただき、ありがとうございます
【2】具体的に伝える
(×)添付文書を見てください
(◯)添付文書の5枚目をご確認いただけますでしょうか
【3】確認する問いかけで伝える
(×)会議は○日のはずです
(◯)会議は○日ではないでしょうか
【4】不可能なことは配慮して伝える
(×)この件は無理です
(◯)申し訳ございませんが、ご要望には応じかねます
【5】依頼形で伝える
(×)金額が間違っています
(◯)金額をご確認いただけますでしょうか
【6】クッション言葉を活用する
(×)型番をお知らせください
(◯)お手数をおかけいたしますが、型番をお知らせくださいますか
※クッション言葉――「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」「あいにく」「勝手を申し上げて恐縮ですが」「失礼ですが」「お差し支えなければ」
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ビジネスマナー講師----------