房総沖に出現の「中国情報収集船」とは  「815型電子偵察船」、NATOコードは「ドンディアオ」 | ニコニコニュース

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 防衛省は26日、中国海軍ドンディアオ級情報収集艦1隻が23日から26日にかけて、房総半島南東の接続水域外側の海域を往復するのを確認したと発表した。発表された写真から、艦番号851の「815型電子偵察船・海王星」と考えられる。「Dongdiao(ドンディアオ)」はNATOのコードネームで「東調」のローマ字表記。

 防衛省によると、海上自衛隊第4航空群所属のP-3Cが23日午後3時半ごろ、房総半島南東の接続水域の外側の海域を北東進する中国海軍ドンディアオ級情報収集艦1隻を確認した。 同船は26日11時頃まで同海域において、北東と南西の方角に往復して航行し、その後、三宅島と八丈島の間を南西に向け航行したという。

 「海王星」(艦名については『北極星』との見方もあり)は排水量6000トンで、ドーム状のアンテナ/光学追尾装置が3基取り付けられている。そのため、中/短距離弾道ミサイルのモニタリング、衛星追尾などの能力を有すると見られている。就役は1999年で、その後、電子装置の更新が実施された。ヘリコプターの発着が可能で、37ミリおよび25ミリ連装機関砲、3連想短魚雷発射管2基を装備しているとされる。

 「海王星」が所属する中国海軍の「東海艦隊」の主要な担当海域は東シナ海。尖閣諸島や白樺(中国名:春暁)など、日中の対立の大きな原因となっている島や海洋資源が存在する海域だ。

 中国海軍は「815型電子偵察船」を改良した「815A型」、「815G」型などの電子偵察船も就役させている。さらに「海洋調査及び測量船」の「636型」も就役させた。

 中国メディアの環球軍事網は6月13日付で、米中が海における情報収集で「厳しい対峙」を繰り返していると報じた。

 同記事によると、中国海軍の情報収集艦隊はすでに、米海軍に次ぐ世界第2位の規模になった。2014年ごろからは、中国の情報収集船はフィリピンやグァム、ハワイ周辺で情報収集を「組織的」に繰り返しているという。特に「636型」を投入していることからは、自国潜水艦の活動にとって重要な、海底地形の測量や海水の状況についてのデータも収集していると考えられる。

 一方で、米国の情報収集船も2009年に中国南部沿岸から200キロメートルの海域にまで接近した。中国は国家海洋局海監総隊が航空機や艦船、漁政局の艦船、さらに民間漁船も投入して米情報収集船の活動を妨害した。

 中国漁船の乗組員が何度も、竹竿を伸ばして米船が投入したソナーのケーブルを切断しようとしたという。中国側のゴムボートで米船に数メートルまで接近したため、米側は放水して対抗した。

 同記事は中国メディアの南方網が12月27日付で、改めて転載した。中国情報収集船の房総沖出現のニュースを受けてのものと思われる。

 中国海軍の情報収集船が、日本の首都圏及び海上自衛隊の重要根拠地がある横須賀に近い房総沖を航行した狙いは、現在のところ不明だ。中国政府はこのところ、日本との緊張を高めない方向で動いている。そのため、政府と軍部の思惑の違いが表面化した可能性もある。(編集担当:如月隼人)(写真は南方網の27日付記事のキャプチャー)