オーストラリアの大手スーパーが品薄になった缶入り粉ミルクについて、店内に英語では「お1人様4個まで」、中国語では「2個まで」と表示したことで、「中国人蔑視だ」との批判が出た。
品薄になった理由は明らかにされていないが、中国人のいわゆる「爆買い」が関係している可能性が高い。中国では2004年に乳児50人程度が死亡する「粗悪粉ミルク」事件が、08年にはたんぱく質の量を多く見せかけようとして混入された有毒物質のメラミンが原因で、乳児に健康障害が発生した「毒ミルク」事件が発生し、国産粉ミルクへの信用が失墜したからだ。
粉ミルクは中国人が海外旅行の際に購入する場合もあるが、一定期間は連続して必要になる品である関係上、海外に住む親族や知人に購入して送るよう依頼する中国人も多いとされる。
オーストラリアの大手スーパーが店内に、英語では「お1人様4個まで」、中国語では「2個まで」と表示したことで、SNSのサイトに写真を添えた批判が併催された。経営する会社側は「該当する不一致は、表記上のミスでした。すでに修正しました」と書き込んだが、その後も各地の店舗で「差別的制限」の表示が残っているとの指摘が相次いだ。
批判の書き込みには「中国人顧客に、このように対応すべきではない。他者にこのように対応するのはオーストラリアの伝統に合致しない」などと、比較的冷静なものもあるが「これは蔑視ではないか。恥を知れ」といった、感情的な書き込みもあるという。
また、中華系のオーストラリア人女性は、粉ミルクを買おうとしたところ、店員に「あなたには2つまで」と言われたと書き込んだ。同女性によると、店内には購入の上限についての表示はなかったという。
スーパー側は改めて、「最近も店に(英語と中国語で購入上限に差をつけた)表示が残っていて、撤去を要求されました」と認めた上で、「すべてのお客様に、4つまでお求めいただけます」と説明した。
同じ製品は中国国内でも販売されているが、流通などの過程の関係で、割高になってしまうという。
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◆解説◆
2014年には台湾で、日本で製造されている比較的安価なチョコレート菓子が急激に高まり、少なくとも東京都内ではかなり極端な品薄になった。
日本に留学している台湾人留学生に尋ねたところ、「多くの友達に頼まれて、大量に購入して送っている。疲れる」と嘆いた。
ただし中国人の粉ミルク購入については、嗜好品に対する一時的なブームではなく、「家庭の状況によってはどうしても必要な品」を、長期に渡って海外で求め続けている特徴がある。やはり、食品産業に問題があると言わざるをえないようだ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)