妥結なら米歓迎声明=慰安婦問題、新基金数億円―日韓外相、午後に会談 | ニコニコニュース

 【ソウル時事】いわゆる従軍慰安婦問題での妥結を目指し、岸田文雄外相は28日午前、韓国の尹炳世外相と午後に会談するためソウル入りした。合意すれば、米政府が同日中にも歓迎の声明を発表する予定だ。政府関係者が明らかにした。岸田外相は、元慰安婦支援のための新基金創設や、安倍晋三首相のおわびの手紙送付などを提案する一方、「包括的かつ最終的な解決」であることを文書で明確にしたい考えだ。

 岸田外相は会談に先立ち、羽田空港で記者団の取材に応じ、「大変重要な会談になると考えており、全力で取り組みたい。大変難しい問題だが、何ができるのかぎりぎりの調整を行いたい」と語った。

 会談は午後2時から韓国外務省で行われる。両外相は合意が得られれば、共同文書を交わす方針。岸田外相が朴槿恵大統領を表敬訪問することも検討している。一致できない場合は来年1月以降も局長級などで話し合いを継続する。

 米政府が出す歓迎声明は、日本側が要請していた。日韓両国による「最終的な決着」を国際的に認識してもらい、慰安婦問題を韓国側が蒸し返さないよう担保する狙いがある。

 基金の規模をめぐっても、1億円超を想定していた日本政府は、大幅な積み増しを求める韓国側に配慮し、「数億円程度」とする検討に入った。日本が求めるソウルの日本大使館前の慰安婦少女像の撤去についても外相会談で調整される。

 首相が出すおわびの手紙の内容については、1995年に設立された「アジア女性基金」事業に際し、歴代首相が送った手紙を軸に調整している。当時の手紙は「道義的責任」を認め、「心からのおわびと反省」を表明した。

 日本政府は慰安婦問題について、65年の日韓請求権協定で慰安婦問題について「解決済み」との立場を堅持し、法的責任や賠償は受け入れない方針。一方、尹外相は27日、法的に未解決との韓国政府の主張は「変わらない」と述べており、基本的な隔たりがある。