「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「じゃがりこ」などで知られるスナック菓子メーカーのカルビーの松本晃会長が、日本の長時間労働を「悪しき慣行」と断言し、喝采を浴びている。
話題となっているのは、「ダイヤモンド・オンライン」に掲載された「カルビー会長が喝!長時間労働が日本をダメにしてきた」という記事だ。松本会長は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長を経て2009年にカルビーのトップに就任。5期連続で増収増益を実現した人物だ。
松本会長の主張は極めてシンプルだ。彼はまず、「残業代なんて、会社全体のコストからしたらたかが知れている」と、残業代のカットが目的ではないと述べたうえで、過去の労働慣行について、
「働くことの成果は勤務時間の長さで評価することが可能でした」
と、分析。そして、
「早く帰って知識や教養を身に付けたり、家族と過ごす時間を大切にしたり、健康でいるために努力したり、そうしたものを蓄積してこそ、魅力的な人間になっていく」
と述べ、「あしき労働慣行を、ぶっ壊す時期に来ている」と、説いている。
日本企業が、労働者に長時間労働を強いていることは、国の施策からも明らかだ。安倍首相は2014年、自らが進める成長戦略「日本再興戦略」に「働き過ぎ防止のための取組強化」を盛り込み、同年9月に厚生労働省は「長時間労働削減推進本部」を設置。さらに同年11月には、過労死等防止対策推進法が施行されている。
そのような状況下、松本会長の「カルビーでは『仕事が終わったら早く帰りなさい』と盛んに言っています」という主張は、多くのネットユーザーから注目を集めている。ツイッターには、
「こういう経営者が増えてほしい」
と、これに激しく賛同する声が上がる一方、
「きれいごと言うな!」
など、あまりの“神発言”に、これをいぶかしむ書き込みも登場している。
しかし行政が音頭を取って時短を推奨しているだけに、こういった動きが広がることを期待したいものだ。
※当記事は2015年12月27日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。