2015年12月18日ついに封切られた『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。
公開にあわせ、TDL「スター・ツアーズ」にも『フォースの覚醒』シーン登場予定!!
旧三部作のように「エピソード7~9」とはクレジットされない新たな三部作は、今後も続く新たなシリーズの序章に過ぎません。
新シリーズの幕開けとなる『フォースの覚醒』は何がすごかいのでしょうか。
スター・ウォーズ サーガの継承
私は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を鑑賞して、「物語の継承」を強く感じました。
『フォースの覚醒』では、旧三部作の主人公たちが活躍します。
それなのに、新たな主人公のレイやフィンたちが邪魔にならないどころか、これから始まる彼らの物語の行く末がとても楽しみになりました。
ディズニーの傘下となりまた動き出したスター・ウォーズが、新たなシリーズとして見事にこれまでの物語を継承していきます。
これから100年続くスター・ウォーズ
2012年、ディズニーがルーカスフィルムを買収。
スター・ウォーズはディズニーのものとなり、新たな三部作やスピンオフが作られることになりました。
この時、ジョージ・ルーカスは「これから100年スター・ウォーズを作り続けられる」と発言しています。
ディズニーは早速ディズニーランドへのスター・ウォーズランド建設を発表。
フォース・フライデーなど、ディズニーが得意とするメディアミックスな大規模マーケティングを徹底的に活用し、買収額をもう回収すると言われるほど巨額の消費を誘導しています。
『スター・ウォーズ』は、『トイ・ストーリー』や『カーズ』同様、テーマパークやグッズ、ゲームなど様々な場所で長く消費されるために、ずっと新作が作り続けられるシリーズとなっていきます。
ジュラシック・ワールドに負けた?
カギを握る新たなファン層
『フォースの覚醒』オープニング興行成績は、当たり前のように過去最高を記録しました。
しかし、全世界興行収入では『ジュラシック・ワールド』に及ばなかったとの報道も出ました。
この原因は、今や映画の巨大市場となった中国です。
中国ではまだ『フォースの覚醒』が公開されておらず、当然ながら興行収入に中国のお金が入りません。
そして、『フォースの覚醒』の最終興行成績でどこまで記録を伸ばせるかという点で最大の懸念事項となっているのが中国です。
中国は旧三部作の頃はハリウッド映画が上映されるような環境になく、中国人の多くはプリクエル(新三部作)からしか知りません。
スター・ウォーズファン自体が他国に比べて非常に少ないのです。
その層を取り込むためには、新たなシリーズだけを観ても多くのファンを獲得できるような魅力が必要となります。
これは中国だけの問題ではありません。
「今後100年」愛されるシリーズとなるためには、旧三部作に頼らず、オリジナルの魅力を生み出し続けないといけないのです。
物語を継承する難しさ
物語を継承しながら新たな魅力を生み出すこと。
ここでネックとなるのが、『ジェダイの帰還』でシリーズ完結の形を見せていることです。
ルーカスの構想としてエピソード7~9にあたる作品もありましたが、映画としては一応完結の形を見せていますし、今回の新たな三部作はルーカスの構想とは全く別のものです。
ディズニーは、『くまのプーさん/完全保存版』の「最終章」で完結したプーの物語を再び長編映画化するにあたり、『くまのプーさん クリストファー・ロビンを探せ!』の冒頭で「最終章」を語り直し、75分をかけてプーたちとクリストファー・ロビンの関係を定義し直しました。
しかし『フォースの覚醒』はもっと大変です。
アナキンとルークというスカイウォーカー親子の物語から外れ、「今後100年続く」シリーズをスタートさせなければなりません。
それを見事にやってのけながら、はじめてスター・ウォーズに触れる人にも理解できるストーリーに仕上げ、今後の作品への期待を持たせるストーリーは、見事としか言いようがありません。
スター・トレックとスター・ウォーズ
スター・トレックとスター・ウォーズ
『フォースの覚醒』と同じJ.J.エイブラムス監督による『スター・トレック』では、過去作の世界とリブート以降を別の平行世界としています。
パラレルワールド的に、別の世界として表現してしまうのは、マーベルなどでも使われている手法です。
スター・ウォーズでも、新作の制作に伴い、スピンオフとして作られてきた物語は「レジェンド」として、映画六部作や『クローン・ウォーズ』といった「カノン(正史)」と区別されるようになりました。
しかし、スター・ウォーズランドなど、今後のディズニーのマーケティング戦略を考えると、同じ世界の物語でなければなりません。
過去作を踏まえて新たな物語に踏み切ることは大変な作業です。
J.J.の『スター・トレック』では、新たな世界軸でありながら過去作の歴史を継承するという、非常に巧い手法が採られています。
主人公の継承
旧三部作ファンへのサービス
古くからのファンの期待に応えるには、過去作のネタを散りばめるのが簡単です。
『フォースの覚醒』では、これでもかというほどのネタが散りばめられています。
当然ながら、これまでの作品を知っていれば知っているほど楽しめます。
きっとマニアの方々に比べたら、私も多くのネタを見逃しているのだと思います。
しかし、これらがストーリーを邪魔することはありません。
むしろ過去のネタが物語を進める上でプラスに働いていることもこの作品の評価を高めているポイントでしょう。
主人公の継承
ルーク、レイア、ハン・ソロという旧三部作の主人公たちが出演するのも、シリーズを繋げる上で重要な要素。
しかも、彼らはゲスト出演ではなく、ストーリー上非常に重要な役割を担います。
最初のあの一文と、衝撃のあのシーン、そして待ち望んだあのシーン…
一方、新たな主人公となったレイやフィンは、これまでの誰でもない新たなキャラクターを持っています。
フィンはルークみたいな役割だな、とかハン・ソロみたいだな、とか思うことはありませんでした。
旧三部作までの物語を踏まえさせながら、しっかりと主人公の世代交代が図られています。
このように、スター・ウォーズはディズニーによって、作り続けられるという新たな運命を背負わされました。
新たなシリーズの第一作である『フォースの覚醒』。
その運命に正面から向き合った、最高の作品に仕上がりました。