韓国では経済の冷え込みの背後で高齢化に伴う問題も顕在化しており、将来的に住宅価格が暴落する可能性も浮上している。
韓国メディア・亜州経済の中国版によると、高齢者による集中的なデレバレッジのため、不動産市場は打撃を受け、数年後に住宅価格が暴落する危険性がある。デレバレッジとは債務を減らそうとする動きを指し、高齢者たちが債務を減らすために住宅を売りに出すことで住宅価格が暴落しかねない状況だという。
韓国の中央銀行である韓国銀行が22日に公表した金融安定報告書によると、韓国の55-74歳の家庭における実物資産の占める割合は80%と米国よりはるかに高く、金融資産に対する金融債務の占める割合は85-115%となっている。分析によると、こうした家庭では実物資産の売却によって債務の返済が行われる可能性が高いという。韓国では35-59歳の人口が2018年以降減少に転ずると予測されており、これが住宅価格の下ぶれ圧力になるという。
韓国銀行によれば、韓国は35-59歳の人口減少と高齢化のペースが主要国家よりも速いため、デレバレッジが集中する可能性があるという。韓国銀行はさらに、住宅価格の下落と収入の減少にもっとも敏感な家計のうち42.1%が50-60歳の世代であり、この層がデレバレッジすることには潜在的なリスクが存在すると指摘。デレバレッジがうまくいかなかった場合、高齢者世帯の家計は悪化する可能性がある。14年の時点で金融負債のある60歳以上の高齢者人口の負債率は200%を超え、元利の返還負担率も30%を超えている。
韓国では家計債務が拡大を続けており、韓国で利上げが行われれば金利負担に耐えられなくなった家計が不動産などの資産処分を迫られる恐れもある。ただでさえ高齢化が不動産市場にとってのリスクとなっているなか、増え続ける家計債務がいずれ不動産価格の暴落につながる恐れも浮上している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)