辺野古対立、出口見えず=政府、1月にも海上埋め立て―沖縄県は新提訴検討 | ニコニコニュース

 法廷闘争に突入した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐる政府と県の対立は、年明け以降も厳しさを増しそうだ。政府が来年1月にも海上部分の埋め立て工事に着手する方針なのに対し、阻止を目指す県側は、新たな提訴で対抗する構え。対立打開の兆しは見えない。

 海上部分の作業はまず、埋め立て予定の海域を囲うように汚濁防止のオイルフェンスを展開。その後、護岸部分の工事を先行実施する。海中への土砂投下も、この段階から始まる。政府は、2020年10月までに全ての埋め立て工事の完了を目指す。

 安倍政権は、辺野古移設を「唯一の選択肢」として、計画通りに履行する姿勢を鮮明にしている。翁長雄志知事が下した辺野古の埋め立て承認取り消し決定を、公有水面埋立法を所管する国土交通相が一時停止。今年10月末には、1996年に日米両政府が普天間返還で合意して以来初めて、資材置き場や搬入用道路の整備など、陸上部分の作業を開始した。

 もっとも、移設作業を新たな段階に進めれば、県内世論の反発は必至。政府内には、来年1月24日投開票の宜野湾市長選への影響を懸念する声がある。天候が不安定な時期にも当たることから、着手の最終的なタイミングについては、慎重に判断するとみられる。

 一方、政府と県の法廷闘争は現在、政府が翁長知事の埋め立て承認取り消しの撤回を求めた「代執行訴訟」と、県が翁長知事の決定の効力回復を求めた「抗告訴訟」の、二つの裁判が並行して進んでいる。

 県はこれに加えて、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が県の審査請求を却下したことを受け、地方自治法の規定に基づいて高裁への提訴の検討に入った。新たに訴訟となれば、三つの裁判が同時進行する事態となる。