中国が自主開発した低中速で走行が可能なリニアモーターカーの路線建設が完了した。これから各種の試験走行が行われることになる。中国メディアの観察者は25日、中国がリニアモーターカーの研究開発で収めた成果は非常に大きいとしながらも、ドイツや日本などに比べれば技術的にはまだ大きな差があるのは事実だと論じた。
記事は、このほど中国で建設が完了したリニアモーターカーについて、「その意義は技術および運行経験の蓄積と検証にある」と紹介。1990年代の中国では新しい鉄道を建設することで認識は一致していたとする一方、高速鉄道とリニアモーターカーのどちらを選択するかで意見がわかれたと紹介。
そうして高速鉄道派とリニアモーターカー派がそれぞれ建設したのが、河北省秦皇島市と遼寧省瀋陽市を結ぶ高速鉄道「秦瀋旅客専用線」と、上海市のリニアモーターカー「上海トランスラピッド」だと紹介した。
また、高速鉄道とリニアモーターカーのどちらが優れているか、明確な勝敗はなかったとし、北京市と上海市を結ぶ鉄道計画として、高速鉄道とリニアモーターカーのどちからで建設する案が浮上したと紹介。実際に建設されたのは高速鉄道であり、リニアモーターカー計画はコストなどの問題から採用されなかったと報じた。
さらに記事は、上海トランスラピッドは上海市郊外と浦東空港を結ぶ29.8キロに過ぎず、数十元の乗車料金ではコスト回収が難しかったため、実績として考えるうえでは高速鉄道に劣っていたと紹介。また、高速で走行が可能なリニアモーターカーは知的財産権の制限があったとし、こうした理由から中国はリニアモーターカーではなく、高速鉄道を選んだのだと論じた。
現在、日本と中国は世界の高速鉄道市場をめぐって輸出競争を展開している。リニアモーターカーの導入については、日本では2027年に東京と名古屋を結ぶリニア中央新幹線の開業が予定されており、中国は一歩リードしていると言える。だが、中国でこのほどリニアモーターカーの建設が完了したことで、今後は本格的にリニアモーターカーの導入が進む可能性もあり、将来的には日中が世界のリニアモーターカー市場を争うことも考えられる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)