ASEAN共同体が発足=巨大経済圏、格差など課題も | ニコニコニュース

 【ジャカルタ時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体が31日、発足した。加盟10カ国の人口は6億2000万人で欧州連合(EU)を上回る。巨大経済圏の誕生は、既に進出している日系企業にも大きな転機となりそうだ。

 共同体は「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」の三つで構成される。そのうち、域内単一の市場・生産基地を目指す経済共同体(AEC)は、先行加盟6カ国の域内関税がほぼなくなり、後発4カ国も2018年までに原則撤廃される見込みで、大きく進展。日系メーカーもこの動きをにらみ域内での生産分業体制の構築を進める。

 ただ、課題や問題も多い。その一つは加盟国間の経済格差だ。格差は縮小しつつあるものの、1人当たり国内総生産(GDP)はシンガポールとカンボジアで依然52倍の開きがある。所得の低い国には人件費の安さから生産移転が進むメリットはあるものの、「豊かな国に経済がのみ込まれる」との懸念が拭えない。

 また、一部の国には自国規格義務付けなどの非関税障壁が多く存在し、関税撤廃の効果を阻む。ASEANは今後10年でこうした障壁の削減を目指しているが、具体的な数値目標はない。サービス分野やヒトの移動の自由化も一部にとどまっており、今後の交渉促進が「域内単一市場」実現に向けたカギになる。