年末年始の長期休暇ということで、実家に帰って、同窓会に参加したり、家族で遊びに出かける人たちもいるだろう。ただ、子連れの場合、深夜まで外出が続くと注意が必要になる。
ネットの掲示板には、23時半ごろのファミレスで、3歳くらいの小さな女の子とその両親を見かけたという目撃例が書き込まれていた。投稿主は「時間が時間なだけに見たとき正直驚きました。今の若い世代にとっては当たり前なのかな?」と疑問を投げかけていた。
若い親たちが深夜まで乳幼児を連れ回した場合、法的にはどんな問題になる可能性があるのだろうか。また、見つけた場合、やめさせることはできるのか。石坂浩弁護士に聞いた。
●都道府県によっては、子どもの深夜外出を制限する条例も「クラブやパチンコ店のように、法律上、風俗営業の適用を受ける店舗であれば、18歳未満の子どもの入店自体を禁止できます。しかし、これに該当しない深夜営業飲食店の場合、保護者が同伴していれば、子どもの入店は可能です。ですから、午後11時半ごろまで、両親と小さな子どもがファミレスで食事をしていたとしても、これを直接的に制限することはできません」
では、周りは手をこまねくばかりなのだろうか。
「そういうわけではありません。大半の都道府県で制定されている『青少年保護育成条例』では、ゲームセンターなどへの夜間立入を制限しているところもあります。また、東京都では、深夜の午後11時以降における18歳未満の子どもの外出を制限しています。神奈川県でも、子どもとの深夜同伴外出を控えるよう、大人に努力義務が課せられています」
ファミレスが、親子の深夜利用を制限していない場合は、どうしたらいいだろうか。
「店舗経営者が、親子の入店自体を禁止することはできません。しかし、地域住民が青少年保護育成条例を根拠に『深夜、子どもとの同伴利用は控えるべき』との申し入れをするくらいは可能だと思います。『子どもの健全な育成』という趣旨には合致していますから」
たしかに一人で申し入れるよりも、自治会などの名前で、他の人と協力して申し入れるほうが影響力もありそうだ。
もし、深夜に連れ回された子どもが眠れずに体調を崩してしまった場合は、「虐待」にあたるのだろうか。
「親が頻繁に深夜同伴外出を繰り返していて、子の顔色が明らかに悪かったり、アザがあったり、極端に痩せていたりするなど、虐待の兆候が見えるケースもあるでしょう。こうした場合は、すぐに児童相談所に連絡してください」
石坂弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
石坂 浩(いしざか・ひろし)弁護士
第一東京弁護士会 少年法委員会委員
子ども(少年事件、学校問題やいじめ、未成年後見等)と、高齢者(遺言、財産管理や成年後見等)の事案には特に力を入れている。子どものための法律相談(青林書院・共著)の他,学校でのいじめ防止授業や各自治体での高齢者財産管理セミナー等も行っている。
事務所名:石坂綜合法律事務所
事務所URL:http://www.zaka-law.com