どんな会社も持っている「企業秘密」。バイト中に見聞きする機会は避けられませんが、他人にバラすと罰金2,000万円! なのはご存じでしょうか?
平成28年から施行される改正・不正競争防止法では、アクセス制限された資料などの「会社の秘密」を不正に持ち出す「営業秘密侵害」の罰則が強化され、個人なら10年以下の懲役、企業は罰金5億円の重罪として扱われることになります。設計図やレシピ、顧客情報などに触れる機会があるひとは、家族や友人にも口外しないよう注意してください。
■10年以下の懲役も
特許取得、と聞くと「特殊なもの」をイメージするでしょう。ところが、あえて特許を取得していない製品も多く、身近なところでは、
・おじさんの人形で知られるフライドチキン
・誰もが知っている黒い炭酸飲料
などが有名。特許を取得するためには材料や製法を公開しなければなりませんし、期限が過ぎたら誰が使ってもOKになるので、独自性がなくなってしまいます。「誰もマネできない」ようにするため特許を取らず、代わりにレシピや成分をトップ・シークレットにしている製品は意外と多いのです。
世界的に有名な製品でなくても、独自性を出すために「秘密」だらけなのが会社の「当たり前」で、アルバイト中に「企業秘密」に触れることも少なくありません。なかでも重要な情報は「営業秘密」と呼ばれ、
・秘密管理性 … アクセス制限されている
・有用性 … 顧客情報や営業/技術上の有益な情報
・非公知性 … 関係者以外は手に入らない
の条件が揃った情報は、まさにその企業の「命」。これを外部にモラすと「営業秘密侵害罪」となり、来年1月からは、
・10年以下の懲役
・2,000万円以下の罰金
が科せられ、場合によっては「両方」を併科される可能性もある重罪として扱われることになったのです。顧客データマニュアル類、レシピや設計図も営業秘密に該当しますので、バイト先で触れる機会があっても口外は厳禁で願います。
■辞めたあとでも罪になる
いわゆる情報漏えいは、なぜ起きるのでしょうか? 圧倒的に多いのは「もうける」ためで、ライバル企業や独立を目指すひとにとっては垂涎(すいぜん)の的。おカネをあげるから持ってきて、なんて話があとを絶たないからです。
会社の秘密を売ってもうけようとする行為は図利加害(とりかがい)目的と呼ばれ、
・売っておカネをもらう
・知り合いの会社で使う
・自分の転職/就職を有利にする
・職場への「腹いせ」
などが代表例。辞めたあとでも処罰の対象となりますので、「前のバイト先では」的な話も厳禁です。
アクセス制限されたデータや、鍵のかかった部屋に勝手に入ると「管理侵害」、誰かのIDやカードキーを使えばダマしたことになるので「詐欺(さぎ)行為」も上乗せされ、「できごころ」では済まないレベルになってしまいます。情報を買う、なんて話を持ちかけられても耳を貸さない。相手が海外企業なら罰金10億円の大事件に巻き込まれることになりますので、くれぐれもご注意ください。
■まとめ
・バイト先のレシピや顧客データは「営業秘密」
・営業秘密をモラすと営業秘密侵害罪により罰金2,000万円が科せられる
・他人のIDやカードキーを使う行為は「サギ」と扱われる
・「バイト先の秘密を売って」なんて話に乗ると、大事件に巻き込まれる可能性・大
(関口 寿/ガリレオワークス)