「コロンブスの卵」という言葉がある。一見簡単そうなことでも、最初に行うことは簡単ではないということの例えだ。中国メディアの騰訊は「中国人はなぜパクリや模倣ばかりして、何かを新しく生み出そうとしないのか」を分析する記事を掲載、中国人は「パクる」のは得意でも「生み出す」のがなぜ苦手なのかを論じた。
記事はまず、一時期中国では日本式の経営管理が流行していたが、2008年の金融危機をきっかけに「日本式管理方法の地位が一気に失われた」と紹介。その後、中国では米国式のマネジメント方法が注目されるようになり、その結果、中国国内の企業家は一様に日本式管理を捨て、イノベーションを生み出す米国モデルを採用するようになったと説明した。
しかし、米国の管理モデルを採用したところで、イノベーションを成し遂げ、新しい発想や製品を生み出せるようになるわけではない。多くの中国企業は結局、米国で成功している企業を「パクる」ことになる。例えば、中国の検索大手はGoogleを、ネット通販大手はAmazonを、スマートフォンメーカーはAppleを模倣するといった具合だ。日本でも「高速鉄道は新幹線のパクリだ」という批判が根強い。
では、なぜ中国企業はパクるだけで、何かを新しく生み出すことができないのだろうか。記事は「知的財産権の保護意識が低い」点を理由として挙げ、中国では何か新しいものを生み出したとしても、すぐに他の企業に模倣されてしまい、どの企業も経営が成り立たなくなると指摘した。
また「さらに深い原因は教育」にあるとし、中国式教育は記憶することを重視し、思考することを学ばせないと指摘し、中国人が何かを新しく生み出すためには創造力不足を解決しなくてはならず、そのためには教育を変えなくてはならないと結論付けた。日本の教育方法も記憶重視と言えるが、中国の場合は日本以上に、学生時代に自由な発想を培う機会を奪っているため、大人になっても新しいものを生み出すのが苦手なのかも知れない。学校でのテストの点数だけでは計れない価値や能力をどのように評価し、高めるのか、日中がともに直面している大きな課題と言える。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)