名古屋城、木造復元に賛否=「本物」天守閣に400億円―市長構想、経済効果疑問も | ニコニコニュース

 尾張名古屋は城で持つ。名古屋市の中心に建つ名古屋城をめぐり、河村たかし市長が打ち出した天守閣の木造復元構想が論議を呼んでいる。コンクリート造からの建て替え費用は、市の見積もりで最大約400億円。文化的価値や経済効果をうたう市長に、市民からは必要性や実現可能性を問う声が上がっている。

 名古屋城は戦時中に焼失し、再建から半世紀以上がたつ。老朽化に加え耐震性に問題があり、市は木造復元案のほか、約29億円で耐震改修する案も検討してきた。

 河村市長は「城は市のシンボル。寸分たがわぬ復元を」と訴え、訪日客が増える東京五輪前の完成を目指す。2015年度9月補正予算に調査費3500万円を計上。「本物」の復元で入場者は現在の年165万人から2倍となり、年100億円の経済効果を生むとして、「市民一人一人がもうかる」とばら色の未来を描く。

 これに対し、市民には困惑が広がる。住民説明会では、「文化遺産になる」「孫に本物を見せたい」と賛同する声の一方、「財源はどうするのか」「人命に関わる事業が優先」との批判も。市は財源として補助金や寄付のほか、市債や市税を挙げるが、保育士の女性(44)は「そんなお金があるのなら、保育園がいくつも造れる」と首をかしげる。