日本や中国、韓国、インドネシアなど13カ国が参加する「東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)」が今春にも国際機関に昇格する。主導する日本は、国際金融システムの番人である国際通貨基金(IMF)のアジア版と位置付け、通貨危機の警戒体制強化などを目指す。
AMROは2011年4月に設立された。参加国から派遣されたエコノミストがアジア域内の経済や金融情勢を調査・分析。通貨危機時には、外貨を融通し合うチェンマイ・イニシアチブ(CMIM)の発動を13カ国に勧告する役割を担う。
現在は本部を置くシンガポールの一法人にすぎないため、人材難などを理由に組織として未熟との見方が多かった。国際機関化を実現する協定発効には各国議会の承認が必要だが、日本は既に手続きを終えており、残りの国でも今春までに承認されるめどが立った。
国際機関への昇格で信用力が向上し、IMFなどとの連携・情報交換を通じて調査・分析能力が高まれば、AMROの存在感は強まる。15年には米国が利上げ局面に入り、新興国では資金が流出し、通貨が売られるなど通貨危機の火種がくすぶる。危機の芽を早期発見する監視体制を強化する意義は大きい。