【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が早ければ今夏にも実施される。域内2位の経済規模を持つ英国が離脱すれば、英国側のみならずEU側にも重大な衝撃となる。国内の賛否は伯仲しており、EU改革の行方や中東からの難民問題など国際情勢の展開によって、どちらに転んでもおかしくない状況。英国は歴史的な岐路に立たされる。
英国は1973年にEUの前身の欧州共同体(EC)に加盟以来、共通市場など実利は求めるが「欧州統合の理想」には熱心ではなかった。
EU離脱派団体「Leave.eu」のアンディ・ウィグモア広報部長は「最悪なのは、わが国の民主的議会で制定された法律が、選挙を経ない欧州委員会の決定に覆されること」と述べ、EUの非民主的側面を批判する。離脱派は、EUの経済政策のまずさや過剰な規制にも反発している。
これに加え、近年EUに加盟した東欧諸国から英国に大量に流入する移民が、雇用を奪ったり社会保障の重荷になったりするといった不満も国民の反EU感情を強めている。
一方、残留派団体「英国は欧州内で一層強くなる」のウィル・ストロー事務局長は、英国がEU加盟により得る利益は、雇用、投資などの面で世帯当たり年間3000ポンド(約53万円)に上ると主張。「EUに背を向ければこのすべてを失う」と実利を強調した。残留派はまた、離脱は英国の国際的地位を低下させると懸念する。