1月になると必ず話題になる「荒れる成人式」。市長に無礼な行為を行ったり、周囲にとって迷惑な振る舞いをしたりするヤンキーの様子が、TVや新聞で報道されます。どうしてそんなことをする必要があるのか、と不可解に思っている人も多いのではないでしょうか。そんな疑問を解消すべく、今回はヤンキーによる成人式での暴走が無くならない理由についてまとめてみました。
■ そもそも成人式の目的とは
「元服」「結髪」など大人になったことをお祝いする儀式は古くから行われているものの、現在の成人式が誕生したのは意外と最近のこと。1946年に埼玉県蕨市で「青年祭」が行われ、その2年後、政府が「おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます」ことを目的に成人の日を制定しました。それから、成人式が全国で行われるようになったといわれています。この背景には、敗戦からの復興のために若者の力が必要だったという事情があります。青年祭には、若者にその自覚を促して、日本をよい国にするために頑張ってもらおうという意図がありました。社会状況は大きく変化していますが、「社会を担う立派な大人になってほしい」というメッセージは現在まで引き継がれています。
■ 成人式が荒れる理由
成人式は社会的な責任をもつ大人の仲間入りをお祝いするためのものなのに、そこで暴れてしまうとは皮肉なものです。しかし、どうしてこんなことが起きてしまうのでしょうか。いろいろな説がありますが、ポイントになるのは、成人式が一生に1度しかない晴れ舞台であること。どうせ参加するなら楽しみたいと思うのが普通ですが、その楽しみ方が常識からズレているのが原因だと考えている人が多いようです。
◎ 承認欲求の充足
荒れる成人式の映像によく登場するのは、髪型をリーゼントやオールバックにして和装したヤンキーの男性。しっかり準備をして参加しているにもかかわらず、暴れて成人式を台無しにしてしまうとは不思議なものです。そこで、他人に認められたいと思う気持ち「承認欲求」を歪んだ仕方で充足しているのではないか、とよく指摘されます。普通は久しぶりに会った友人との会話などでおとなしく楽しむものですが、ヤンキーの場合は周囲とは違うファッション、行動をして注目を浴びようとするのではないか、という考え方です。
◎ 成人式が形骸化しており、遊ぶためのイベントとして認識されている
同様によくいわれるのは、成人式の形骸化。成人式に込められたメッセージを理解していない新成人が、子どもの頃からの友人と集まったのをいいことに、周囲の迷惑を顧みずにふざけているという考え方です。確かに成人式は一生に1回しか参加できないビッグイベント。つい楽しくなってしまう気持ちもわかりますが、このような理由であれば批判を浴びてしまうのも仕方のないことです。
◎ 成人式で暴れることが、ヤンキーのあいだで伝統行事化している
奇抜なファッション、改造したバイクや自動車での暴走行為がヤンキーのあいだで伝統行事化しており、先輩から後輩へと受け継がれている、という話も。何十万円も掛けて成人式の準備をするケースもあるそうです。警察によって逮捕される可能性があっても、後輩や同級生に対してのメンツがあって、他人に迷惑をかけて悪目立ちすることがやめられないのかもしれません。
◎ 本当はマスコミが部分的に取り上げているだけ
「近頃の若者は……」という論調で荒れる成人式を取り上げる人が多い一方で、本当はそれほど荒れていないのではないか、と疑問を呈する人もいます。毎年100万人以上が新成人になっていることを考えると、その中に常識から外れたことをする人がいても不思議ではありません。また、マスコミが問題として取り上げることで、かえって悪目立ちしようとする新成人が増えているのではないか、と指摘する人もいます。とはいえ、いまさら無視するわけにもいかないでしょうし……難しいところですね。
■ 今年の成人式もきっと……
荒れる成人式の報道は、もはや毎年恒例のものとなっています。おそらく今年も話題を席巻するのではないでしょうか。最近は警察や機動隊が出動することも多く、逮捕者が出ることも珍しくありません。成人式では、自分の将来についてしっかり考えて行動したいものです。
(著:nanapiユーザー・マッハ 編集:nanapi編集部)