中日本高速、控訴せず=笹子トンネル賠償判決確定へ

 山梨県の中央自動車道笹子トンネルで2012年12月、天井板が崩落し9人が死亡した事故をめぐる訴訟で、中日本高速道路(名古屋市)は5日、同社などに計約4億4300万円の損害賠償を命じた一審横浜地裁判決について、控訴しないと発表した。遺族側も控訴しない方針で、判決が確定する。

 中日本高速は、同日出したコメントで「判決で示された事故以前の点検・維持管理体制に対する指摘を真摯(しんし)に受け止める」と言及。「二度とこのような事故を起こさない強い決意の下、グループを挙げて再発防止、安全性向上に取り組む」とした。

 亡くなった石川友梨さん=当時(28)=の父信一さん(66)は取材に応じ、「喜びは半分。控訴を断念するなら、初めから素直に非を認めてほしかった。求めてきた再発防止の実現にまだ先は長い」と話した。

 横浜地裁は昨年12月、「事故は予見でき、入念な点検方法を採用すべき注意義務を怠った」として、同社と保守点検業務を担う子会社の過失責任を認め、犠牲者5人の遺族への賠償を命じた。

 遺族側は、金子剛一前社長ら中日本高速と子会社の当時の役員4人も提訴しており、2月16日に判決が言い渡される。