「アルバイトの君は、君が辞めた後の職場の心配なんて一切しなくていいよ」。アルバイトをやめようか悩んでいた人に、そんなふうにアドバイスしたというツイートが話題となった。
投稿者は、アルバイトが辞めた後のことは経営者が考えるべきことであり、辞めたことで職場が困るような事態になるのは「経営者のせい」だと述べている。このツイートは2万回近くリツイートされ、「正論」だという賞賛の声が寄せられる一方で、「自己中心的だ」「『飛ぶ鳥後を濁さず』で筋目は通して辞めてほしい」という意見もあった。
アルバイトを辞める際、注意すべき点はなんだろうか。原英彰弁護士に聞いた。
●どのタイミングで辞めることができるのか?「アルバイトは、通常、期間の定めのある雇用契約ですから、期間満了前に『次の契約期限が来たら辞めます』と言えば、法的には問題なく退職することができます。
アルバイトは、通常は1カ月から3カ月程度の期間を定めた雇用契約を締結し、期限がくると契約を更新しているというケースが多いと思います」
原弁護士はこのように述べる。
「アルバイトが仕事を辞めた結果、人手が足りなくなったとしても、それは経営者が対応すべきことであって、辞めようとしているアルバイトの人が法的に責任を負うようなことは一切ありません。たとえば、『やめるなら、他の人材を探してこい』などと言われても、無視して構いません」
タイミングとしては、契約更新の際の退職しかないのだろうか。
「そうではありません。
契約期間満了後も従業員が継続して働き、雇用主もこれに異議を述べない場合、同一の条件で雇用が継続することとなります。
このような形で契約が更新された場合、更新後は、辞めたい日の2週間前までに言えばいつでも退職できます。いつのまにか、雇用期間が延びていた場合には、『2週間後に辞めます』と言えば、アルバイトを辞めることができます」
●バックれるのはやめたほうがいいネット上には、「バイトバックれましたwww」など、アルバイトをサボってそのまま行かなくなったことを報告する人もいるが、そうしたケースは問題なのだろうか。
「損害額がそれほど高額になるとは思えませんが、その方法だと雇用主から損害賠償請求される可能性もあります。それなら、ひとこと、『辞めます』と言ってから出勤を拒否すべきでしょう。
法律上、『やむを得ない事由』があれば、期間途中でも退職することができます。無理なシフトや長時間勤務を『やむを得ない事由』と解する余地は十分にあります。
どうしても辞めたくなったときは、『辞めます』ときちんと意思を伝えてから、できれば証拠が残るように文書で、出勤を拒否しましょう」
原弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
原 英彰(はら・ひであき)弁護士
人事労務を中心に、企業法務を中心に取扱う。企業側の立場での団体交渉の経験が豊富で、週1回ペースで出席している。
事務所名:竹林・畑・中川・福島法律事務所
事務所URL:http://www.thnflaw.com/