ツイッターやLINEでつながった中高生らを中心に会員2万5千人以上をうたうネット上の巨大グループ「匿名クラブ」。トップの少年は、一体、どんな人なのか。取材に応じた高校生は純朴そうで小柄な少年だった。巨大グループのトップが語る「匿名クラブ」の目的、普段の生活とは?
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会員「2万5千人以上」ネットで別人格
「学校での私の地位は『中の下』ぐらいかと。だからネット上で別人格の構築を目指すんです」
今年で18歳になる高校2年の男子は、ツイッターやLINEでつながった中高生らを中心に会員2万5千人以上をうたうネット上の巨大組織「匿名クラブ」のトップだ。
女子にもてない意味の「非モテ」をもじったツイッターのアカウント「ひもてぃー」のフォロワーは7万人弱、ほかにもアカウントは10個以上。その一つのプロフィル写真は、素顔を白い仮面で覆い、長い髪に白装束の胸元など、怪しげな雰囲気を醸し出す。タイムラインは、「死ね」「殺す」といった過激な言葉で埋まる。
純朴そうで小柄な少年
だが、中部地方の、ある市で記者と待ち合わせた公共施設に現れたのは、拍子抜けするほど純朴そうで小柄な少年だった。パーカ姿で「よろしくお願いします!」とペコリと頭を下げ、県立高校に通っていることや、運動部の練習を早退したことを、丁寧な言葉遣いで明かしてくれた。
「思春期は、いじめられたりコミュニケーションが苦手だったりして、現実世界では良好な人間関係が結べない場合があります。そんな方々同士で親睦を深めるのも匿名クラブの目的。やりとりの大半がとりとめないあいさつですが、匿名ゆえに普段なら言えない下ネタなどを書き込む傾向が強まるのは欠点です」
「自己顕示欲を満たしてくれる」
高校受験のストレスでSNSにのめり込み、同い年の匿名クラブ創設者とつながった。専用ウェブサイトをつくったのが評価され、14年秋に「会長」に就任後、同じような八つの団体のトップと連合を組み、統合した。
ツイッター内でのトップの地位は「人気者になりたいという自己顕示欲を満たしてくれる」という。だが、巨大組織になった匿名クラブの会長だとは、学校の誰にも知られておらず、創設者や傘下8団体のトップたちとも一度も会ったことはない。
電通総研の「若者まるわかり調査2015」によると、ツイッターを使う高校生の63%が複数のアカウントを持ち、平均3・1個。30年近く女子高校生をウォッチする企画会社ブームプランニングの中村泰子社長は「失恋の裏事情やうわさ話などは、フォロワーが300人前後もいる学校関係では、つぶやけない。そんな時に、親しい数人だけを集めて鍵をかけたアカウント『鍵アカ』が必要になる」と解説する。