空港完成で「南沙諸島の主導権握った!」=中国報道 | ニコニコニュース

サーチナ

 中国メディアの新浪網は4日、スプラトリー諸島(南沙諸島)のファイアリー・クロス礁(永暑礁)に空港が完成することで、中国は南シナ海における管理、制御、統治が直接できるようになり、南シナ海の「主人としての役割」が鮮明になったと主張する記事を掲載した。

 中国は2日、永暑礁の滑走路に政府がチャーターした民間航空機を着陸させる試験を行ったと発表した。南沙諸島の領有権を主張するベトナム政府は中国を非難。日本の岸田外相も4日に、南沙諸島については領有権について関係国の主張が対立しているとして、中国の動きを「一方的な現状変更、既成事実化を進めようとする行為で、深刻な懸念を有している」、中谷防衛相は「紛争の平和的解決につながらないもので、憂慮している」と述べた。と述べた。

 中国側は2日、ベトナムの非難に対して「完全に中国の主権の範囲内の事情であり、ベトナムの理屈の通らない批判は受け入れない」と反論した。

 中国が永暑礁に建設した滑走路は3100メートル程度とされている。新浪網掲載の記事は、大型輸送機の発着も可能で、「南シナ海で緊急事態が発生すれば、中国軍はいつでも輸送機を出動させ、作戦用人員や対空/対艦ミサイルを増派できる」と主張した。

 さらに作戦遂行に当たっては「J-10(殲-10)」、「J-11」、「JH-7(殲轟-7)」などの戦闘機や戦闘爆撃機が永暑礁の滑走路を利用して、南シナ海の制空・制海権を奪取できると論じた。

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◆解説◆


 中国は盛んに「南沙諸島はわが領土」と主張しており、国内向けにも同諸島と周辺海域での中国での実効支配が優越している「雰囲気」の報道が多かった。しかし実際には、中国は「満潮時も海面より上に出る陸部分を持つ自然の島」を支配していない。多くの国の非難や懸念を振り切って、埋め立てによる滑走路を建設したのはそのためだ。

 これまで、南沙諸島に滑走路を建設したのは台湾(太平島)、フィリピン(パグアサ島)、ベトナム(チュオンサ島)、マレーシア(ラヤンラヤン島)だった。同諸島すべてまたは一部についての領有権を主張する国で、ブルネイと中国だけが滑走路を建設できないでいた。

 南沙諸島における中国の岩礁獲得は、1988年のスプラトリー諸島海戦で、ベトナム軍との交戦に勝利したことによる。中国はまた、1994年にフィリピンが実効支配していたミスチーフ礁を奪取して建造物をつくった。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の4日付報道の画面キャプチャー)