しなやかさ、無邪気さ、狂気。作品ごとに見せるめくるめく表情で、見るものをくぎづけにする俳優・菅田将暉。2016年の映画1本目は、NEWSの加藤シゲアキの同名小説を、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)の行定勲監督が映画化した『ピンクとグレー』(1月9日公開)だ。菅田にインタビューし、映画初主演となったHey! Say! JUMPの中島裕翔との撮影秘話について話を聞いた。
本作は、芸能界の嘘とリアルを描いた人間ドラマだ。突如、謎の死を遂げる人気スター、白木蓮吾役を中島が、蓮吾の死の真実を追う親友・河田大貴役を菅田が演じた。
中島と初共演した感想を聞くと、菅田は、開口一番「彼を嫌いな人はいないと思います」と言い切る。「僕は、中島裕翔とマイケル・ジャクソンは、間違って人間として産まれた天使だと思っているので(笑)。なんというか、邪気がないんです。神様が入れ忘れたのかわからないけど、人当たりの良さがすごすぎます」。
中島と共演して、いろんな発見があったと言う。「ジャニーズのアイドルとしての仕事ぶりを見ていると、すごく発信することが好きなように見えるんです。実際、PVのようなシーンでも、キラキラと輝けるわけですし。でも、その半面、本作は裕翔をみんなでいじめて、それを楽しむ映画でもあります。今回の裕翔は受け手であり、相手の突っ込みに対しても、素直に返せるんです。そのコミュニケーション能力に、僕は驚きました。裕翔自身が頑張っている部分があるとは思いますが、それを一切見せないし、彼には誰も不快にさせない“品”が備わっています」。
中島は、初主演ということで、やはり気負いみたいなものは感じていたそうだ。「プレッシャーもあったでしょうし、ずっと悩んで、考えていました。裕翔より僕の方がたまたま映画やドラマを数多くやらせてもらっているので、僕にも素直にたくさん聞いてきてくれました。それで、気がついたらもう肩を組んでいた感じで、ある種、危険人物です(笑)」。
中島演じる蓮吾と、菅田演じる大貴は、親友にしてライバルだった。菅田自身も、同世代の俳優にライバル意識を抱くことがあるのだろうか?と聞いてみると「もちろんあります。そんなことは当たり前ですから」と答える。
「でも、僕らの世代はありがたいことに、ここ5、6年、友達が全然変わらないんです。それは、すごくこの業界では稀有なことであり、みんなが同じようにレベルアップしていかないと、ありえないことだと思います。山崎賢人や、大賀、浅香航大など、同じ高校のメンバーたちですから。当たり前のようにお互いの作品にああだこうだ言うし、嫉妬するし、ほめ合います」。切磋琢磨し合える健全な関係だからこそ、互いに伸ばし合えてきたわけだ。
『ピンクとグレー』は、「幕開けから62分後の衝撃!!」という仕掛けが話題になっているが、中島裕翔と菅田将暉というタイプの違うスター2人のきらめきを切り取った青春映画としても見応えがある。是非、ニュートラルな状態で観てみてほしい。【取材・文/山崎伸子】