北米時間2016年1月6日,Imagination Technologiesは同社の次世代GPUコア「PowerVR Series7」の最上位版となる「PowerVR Series7XT Plus」を発表した。GPUを使った演算処理系のAPIであるOpenCL 2.0に対応していることが最大の特徴で,ゲーム分野や最先端グラフィックスというよりは,ディープラーニングや画像認識などへの対応を強く意識した強化が行われているという。
今回発表されたのは,64基のALUを搭載する「PowerVR GT7200 Plus」と128基のALUを搭載する「PowerVR GT7400 Plus」だ。型番から察せられるように,以前発表されていた「PowerVR Series7XT」の一部を改良したものという位置付けになるようである。
同社のマルチメディアテクノロジーマーケティング部門でディレクターを務めるPeter McGuinness(ピーター・マクギネス)氏は「画像認識をコンシューマレベルの製品に組み込むときがやってきた」と語り,PowerVR Series7XT Plusがとくに画像認識などの分野で最適化された製品であることを強調していた。
近しい型番にしては,4倍の性能向上というのは驚異的である。どのようにしてこの強化が図られたのか? Imaginationが以前同様に16bit演算性能を2倍に向上させたときには,16bit演算ユニットを物理的に倍増させるという手法を用いていた。この流れに沿うと,16bit演算機をさらに倍増させ,新たに8bit演算ユニットを大量に搭載してきたのかもしれない。ただ,それだとかなり大規模な仕様追加となり,コアサイズもかなり大きくなってしまうだろう。
代わりに見当たらなくなっているのが,FP64の演算ユニットだ。PowerVR Series7XT Plusでの強化は,FP64演算専用ユニットの部分を整数演算ユニットで置き換えたものということになりそうだ。モバイルで使われることが多いであろうGPUコアでは,64bit浮動小数点演算をFP32ユニットで行うことにしてもさほど困ることはなさそうなので,今後用途が広がると見られる整数演算ユニットを強化してきたのだろう。
なお,画像認識やGPGPU用途での強化が顕著ではあるが,描画系APIではテッセレータやジオメトリシェーダなどに対応したOpenGL ES 3.2(Series7XTはOpenGL ES 3.1)とValcanに対応しているほか,メモリ周りの強化も実現しており,ゲーム系の分野でも期待のできそうな仕様となっている。
リンク:Imagination Technologiesによるリリース(英文)
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