中国で続発している警察官を装った詐欺事件については、当サイトでも何度も報じてきた。
しかし、年明け早々、江蘇省常州市で検挙されたニセ警察官の犯行動機は、他と一線を画していた。「中国新聞網」によると、1月4日、同市でテロ対策や人質事件に投入される精鋭部隊、特警(特殊警察)に扮していた21歳の男が逮捕された。
男は、特警の制服を着用していたほか、偽造の警察官証、おもちゃの拳銃に手錠、スタンガン、警棒などを装備。本物の特警になりきって、街をパトロールしていたという。
地元の派出所に「現在、特警が街を警ら中ですか?」という問い合わせが寄せられたことで、本物の警察官がパトロールを実施。市内の路地裏で、制服姿の男を発見し、警察標章の不法所持及び使用の疑いで派出所へ連行した。
しかし、警察の取り調べに対し、男が語った動機は意外なものだった。
男の父親は風俗に目がなく、買春を繰り返していたという。そして元日も、父親から金を無心する電話を受け取った男は、父親が買春に出かけようとしていると直感。そこで、特警に扮して夜の街をパトロールし、父親が買春できないようにする作戦に出たのだ。
都合のいいことに、警察官になるのが夢だったという男は、ネットショップで購入した特警の制服ほか、装備一式を持っていた。
それらをまとった男は夜の街で立ちんぼを見つけるたび、虎の威を借る狐よろしく、彼女たちを一喝しては追い払うという任務を続け、父親に買春させる隙を与えなかった。そして4日目の夜、本物の警察官に連行されるハメとなったのだ。
父親を買春狂いから立ち直らせたいという一心での男の行動に対し、ネット上では同情の声も上がっている。売春防止にも一役買ったわけだし、男には寛大な沙汰が下されるべき!?
(文=牧野源)