先日、72歳のおじいちゃんが作ったというLINEスタンプがネット上で大きな話題になりました(関連記事)。エクセルで描かれたというイラストはあまりに独創的で、テーマも「工事現場の安全促進スタンプ」「団塊の世代」などこれまでの人気スタンプとは一線を画すシュールなものばかり。「使うタイミングが分からないw」とツッコミが殺到したその世界観が、かえって癖になると大反響を呼びました。
制作者は「田澤エンタープライズ」として自身のサイトでも作品を発表している田澤誠司さん。一体なぜエクセルでイラストを描いているのか? なぜLINEスタンプを発表しようと思ったのか? ご本人に質問をぶつけてみたところ、さまざまなお話を伺うことができました。
田澤さんがPCを学ぶようになったのは52歳のとき。電気設備工事の施工管理をしていた田澤さんは、業務上PCを使用せざるを得なくなったのがきっかけで、当初は職場内にPCに詳しい人がおらず独学で習得したそうです。もともと機械を扱うのは好きだったものの、20年前のウィンドウズ95はPCのメモリ容量も少なく、動作不具合が多くて苦労したとのこと。
エクセルでイラストを描いているのは、共有がしやすく加工も簡単なため。手足や顔などをパーツごとに描き、それをモンタージュのように組み合わせることで色彩豊かな表現になるよう工夫しています。イラストに関しても独学で、影響を受けた画家や漫画家などはいないとのこと。ちなみに、イラスト用のソフトを使うと貼り付けはできるものの加工ができず、オリジナルイラストは作成できなかったそうです。
イラスト以外の趣味は散歩やゴルフ、写真撮影で、PCスキルを生かしてドライブ旅行の写真に音楽・文字を入れた「写真ムービー」のDVDなども制作しています。LINEスタンプを作り始めたのはお孫さんから勧められたのがきっかけ。それまでスマホやLINEは未知のものでしたが、現在は孫とLINEでやりとりするほど使えるようになったそうです。今回いただいたプロフィール写真もスマホから送ってくださいました。
今回ネットで話題になったことでスタンプの売上が急増し、「一時的とはいえ現役収入の5倍はあります」と驚いていました。見知らぬ人たちがTwitterなどで話題にしてくれたことに感謝しており、「いいものはLINEを制すると言っても過言でないと感じました」と自信を深めた様子。自信作は自身の体験に基づく「工事現場の安全管理」に関するスタンプで、安全への意識付けや注意喚起に使えるところに価値を感じています。
田澤さんはLINEやLINEスタンプ文化が今後も続いていくことを考えて、若者向けなものが主流の現状からの脱皮と変革が必要だと意識しているそう。働き盛りの中高年層の癒やしになるものや、後期高齢者の健康管理や生きがいづくりにも役立つよう、常に新鮮味のある作品を作っていきたいと意気込みを語ってくれました。
田澤さんのLINEクリエイターズスタンプは現在27種類が販売中。今後も若者からご年配の方まで楽しめる新作の登場に期待したいですね。
(たろちん)
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