アニメ作品の中には、大人こそが楽しめるシブい内容の良作があります。そんな作品には良質なよく練られたストーリー、シャープな演出、素晴らしいアクションシーンなど、大人が楽しめる見どころが詰まっています。今回は「大人にお薦めなシブい内容のアニメ」をピックアップしてご紹介します!
●第1位 『カウボーイビバップ』TVシリーズ全26話
2071年の未来。人類は宇宙開拓時代を迎え、その生活圏は太陽系内の各所へ広がっていました。この世界では「カウボーイ」と呼ばれる賞金稼ぎがいて、主人公スパイク・スピーゲルと相棒のジェット・ブラックもカウボーイ。愛機「ビバップ号」を駆って宇宙を飛び回る彼らの活躍は……。
格好いいハードボイルドなアニメです。スパイクとジェットに、謎の女フェイ、天才ハッカー・エド、人間並みの知能を持つ犬・アインが加わり、4人と1匹の奇妙で面白いセッションが展開されます。ジャズをメーンにしたBGMもスタイリッシュでクールな面を引き立てています。ちなみに本作はアメリカでの人気が非常に高いことでも知られています。
本放送:テレビ東京:1998年4月3日-6月26日/WOWOW:1998年10月23日-1999年4月23日
原作:矢立肇
監督:渡辺信一郎
脚本:横手美智子/信本敬子/佐藤大/渡辺信一郎/村井さだゆき/山口亮太/稲荷昭彦
作画監督:竹内浩志/川元利浩/菅野宏紀/小森高博/逢坂浩司/しんぼたくろう/本橋秀之/中田栄治
美術監督:東潤一
キャラクターデザイン:川元利浩
メカニックデザイン:山根公利
主なキャスト:スパイク・スピーゲル(CV山寺宏一)/ジェット・ブラック(CV石塚運昇)/フェイ・ヴァレンタイン(CV林原めぐみ)/エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世(CV多田葵)/ビシャス(CV若本規夫)/ジュリア(CV高島雅羅)/リン(CV緑川光)/シン(CV檜山修之)
製作:サンライズ/バンダイビジュアル
●第2位 『ガングレイヴ』(GUNGRAVE)TVシリーズ全26話
死人を無敵兵士としてよみがえらせる「ネクロライズ計画」。ハリーはこの計画から生まれた兵士で「ミレニオン」のボスとして君臨します。しかし、ハリーに殺されたブランドンはネクロライズの力で「ビヨンド・ザ・グレイヴ」としてよみがえり、ハリーに戦いを挑みます……。
本作は、レッド・エンタテインメントから2002年に発売されたガンアクションゲーム『GUNGRAVE』を基にしたアニメです。アクションが見どころの作品ですが、戦う男の抗争劇でもあり、男同士の絆が描かれている点がシブいです。男手一つで娘を育てているという、ハリーの側近ベア・ウォーケンがいい味を出しています。
本放送:2003年10月6日-2004年3月29日
原作:内藤泰弘/レッド・エンタテインメント
監督:都留稔幸
脚本:黒田洋介
総作画監督:筱雅律/CINDY H・YAMAUCHI
美術監督:上野秀行/清水友幸
キャラクターデザイン:筱雅律(原案:内藤泰弘)
メカニックデザイン:木村雅広(原案:藤島康介)
主なキャスト:ビヨンド・ザ・グレイヴ、ブランドン・ヒート(CV関智一)/ハリー・マクドウェル(青年時代CV浜田賢二/壮年期CV磯部勉)/浅葱ミカ(CV佐久間紅美)/ボブ・パウンドマックス(CV茶風林)/バラッド・バッド・リー(CV子安武人)/ベア・ウォーケン(CV大友龍三郎)/九頭文治(CV立木文彦)/浅葱マリア(CV井上喜久子)/ビッグダディ(CV家弓家正)
製作:PROJECT GUNGRAVE
●第3位 『ヘルシング』TVシリーズ全13話
20世紀末の英国では吸血鬼による奇怪な事件が多発していました。あるとき村が吸血鬼に全滅させられる事件が起こります。吸血鬼に対抗するための「ヘルシング機関」に所属する主人公・アーカードは吸血鬼を仕留めるのですが、そこでセラスという重傷の少女を助けます。しかし……。
『ヤングキングアワーズ』に連載された平野耕太先生の同名漫画をアニメ化した作品です。最強の吸血鬼ハンターとして大活躍するアーカードの描写が素晴らしく、アクションのクオリティーも高くて楽しめます。原作ファンからするとちょっと物足りないかもしれませんが……。
本放送:2001年10月11日-2002年1月17日
原作:平野耕太
総監督:飯田馬之介
監督:浦田保則
脚本:小中千昭/ほそのゆうじ
作画監督:斎藤浩信/村田俊治/柳瀬雄之/門智昭/日向正樹/当山金三/田頭しのぶ/神戸洋行/宮尾佳和/河合静男
美術監督:片平真司
キャラクターデザイン:村田俊治
メカニックデザイン:河野悦隆
主なキャスト:アーカード(CV中田譲治)/インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング(CV榊原良子/幼少期CV水橋かおり)/セラス・ヴィクトリア(CV折笠富美子)/ウォルター・C(クム)・ドルネーズ(CV清川元夢/青年時代CV浪川大輔/少年時代CV朴ロ美)/ピップ・ベルナドット(CV平田広明/少年時代CV五十嵐裕美)/アーサー・ヘルシング(CV大塚周夫/青年時代CV浪川大輔)/ヒュー・アイランズ卿(CV水野龍司)/シェルビー・M・ペンウッド卿(CV北川勝博)/ロブ・ウォルシュ中将(CV大友龍三郎)/エンリコ・マクスウェル(CV田中秀幸)/アレクサンド・アンデルセン(CV野沢那智)
製作:Hellsing製作委員会
●第4位 『砂ぼうず』TVシリーズ全24話
文明が滅び去って数百年がたった「関東大砂漠」が舞台です。主人公・水野灌太(砂ぼうず)は小泉太湖(小砂)と共に便利屋を営んでいます。二人は危ない仕事を請け負ってこの関東大砂漠でたくましく生きていくのですが……。
主人公のゲスっぷりが見どころで、そのたくましさには驚かされます。また、下品なシーンもありますがそれがこの物語世界によくハマっています。シブいといえばこれほどシブいアニメもありませんが、奇妙に心引かれる独特の魅力があるのです。ガンアクションや小砂の成長ぶりも見どころの一つです。
本放送:2004年10月4日-2005年3月21日
原作:うすね正俊
監督:稲垣隆行
脚本:山口宏/中村浩二郎/竹田裕一郎
総作画監督:吉松孝博
美術監督:谷村心一
キャラクターデザイン:吉松孝博
主なキャスト:水野灌太・砂ぼうず(CV鈴木千尋)/小泉太湖・小砂(CV斎藤千和)/朝霧純子(CV小谷朋子)/川口秋夫(CVかわのをとや)/川口冬夫(CV斉藤次郎)/川口春夫(CV高戸靖広)/雨蜘蛛(CV若本規夫)/小出水厳道(CV中嶋聡彦)/小出水満(CV茂木滋)/海堂勝(CV遠近孝一)/貝塚薫(CV大木民夫)/川口夏子(CV皆口裕子)
製作:GDH/コモンウェルス・エンターテインメント/ポニーキャニオン/中部日本放送/東北放送/北海道放送/RKB毎日放送
●第5位 『ケモノヅメ』TVシリーズ全13話
「愧封剣(きふうけん)」は古くから食人鬼を狩るために存在してきました。「愧封剣」の師範代・桃田俊彦は上月由香と恋に落ちて逃亡します。ところが、この上月由香は食人鬼だったのです……というストーリー。
非常にスタイリッシュな映像で作られた作品で、まず音楽ともどもアバンタイトルから格好いいのです。妙に生々しいラブシーン、スピーディーかつクールなアクションシーンなど大人こそ楽しめるアニメです。さすがマッドハウス制作作品ですね。
本放送:2006年8月5日-11月4日
原作:湯浅政明/マッドハウス
監督:湯浅政明
脚本:湯浅政明/萩窪七/高橋敦史/中村健治/清水洋/水上清資/小野亮/若林漢二
総作画監督:伊東伸高
美術監督:河野羚
キャラクターデザイン:伊東伸高
主なキャスト:桃田俊彦(CV木内秀信)/上月由香(CV椎名へきる)/桃田一馬(CV吉野裕行)/桃田十蔵(CV筈見純)/柿の木利江(CV柿沼紫乃)/大葉久太郎(CV内海賢二)/大場丈治(CV郷里大輔)/頬張岳人(CV梁田清之)/上月春美(CV佐久間レイ)
製作:ケモノヅメ製作委員会/WOWOW
●第6位 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』TVシリーズ全26話
西暦2030年、情報ネットワークが高密度化し、人間のサイボーグ化・電脳化が当たり前になっている時代。「公安9課」(攻殻機動隊)という内務省直属の防諜部隊がさまざまな事件の解決に当たっていました。やがて「笑い男」という謎のハッカーに行き当たるのですが……。
草薙素子率いる個性豊かなメンバーの活躍が見ていて心地良い作品です。彼らは事件の奥に潜むものを見通そうと努めるプロ中のプロなのです。ストーリー運びやせりふが洗練されていて大人にこそ見てほしいアニメ。進化した電脳空間の描写も見どころの一つです。
本放送:2002年10月1日-2003年11月30日
原作:士郎正宗
監督:神山健治
脚本:神山健治/藤咲淳一/櫻井圭記/佐藤大/菅正太郎/寺戸信寿
作画監督:海谷敏久/丸山宏一/後藤隆幸/佐藤雅弘/山口賢一/植村淳/新野量太/須賀重行/浅野恭司/前田明寿/村田俊治/中村悟/樋口香里/木崎文智/玄馬宣彦/川原智弘
美術監督:竹田悠介
キャラクターデザイン:下村一
メカニックデザイン:寺岡賢司/常木志伸
主なキャスト:草薙素子(CV田中敦子)/荒巻大輔(CV阪脩)/バトー(CV大塚明夫)/トグサ(CV山寺宏一)/イシカワ(CV仲野裕)/サイトー(CV大川透)/パズ(CV小野塚貴志)/ボーマ(CV山口太郎)/タチコマ(CV玉川紗己子)
製作:攻殻機動隊製作委員会
●第7位 『パプリカ』
千葉敦子(パプリカ)はサイコセラピスト。時田浩作の発明した装置「DCミニ」を使用して患者の夢を共有し、そこに介入し治療するのです。ところがこのDCミニが何者かに盗まれてしまいます。DCミニを悪用した、他人に悪夢を見せる事件が発生するのですが……。
筒井康隆先生の同名小説を基にしたアニメ映画です。今敏監督の演出がさえ渡る作品で、アニメでしかできない夢の表現に圧倒されます。特に終盤の「パレードシーン」は圧巻で強い印象を残します。また平沢進さんの音楽とのマッチングも素晴らしく、大人に見てほしい傑作です。
公開日:2006年11月25日
原作:筒井康隆
監督:今敏
脚本:水上清資/今敏
作画監督:安藤雅司
美術監督:池信孝
キャラクターデザイン:安藤雅司
主なキャスト:パプリカ・千葉敦子(CV林原めぐみ)/乾精次郎(CV江守徹)/島寅太朗(CV堀勝之祐)/時田浩作(CV古谷徹)/粉川利美(CV大塚明夫)/小山内守雄(CV山寺宏一)/あいつ(CV田中秀幸)/日本人形(CVこおろぎさとみ)/氷室啓(CV阪口大助)/津村保志(CV岩田光央)/柿本信枝(CV愛河里花子)/レポーター(CV太田真一郎)/奇術師(CVふくまつ進紗)/ウェイトレス(CV川瀬晶子)/アナウンス(CV泉久実子)/研究員(CV勝杏里)/所員(CV宮下栄治)/ピエロ(CV三戸耕三)/玖珂(CV筒井康隆・特別出演)/陣内(CV今敏・特別出演)
製作:パプリカ製作委員会
●第8位 『妄想代理人』TVシリーズ全13話
鷺月子は「マロミ」という癒やし系キャラクターのデザイナーでしたが、ある夜、通り魔・少年バットに襲われます。「少年バット」による通り魔事件は次々と起こり、収まる気配がありません。捜査を担当する猪狩慶一と馬庭光弘の二人の刑事は、被害者たちのある共通点に気付くのですが……。
増えていく被害者、少年バットを追う刑事たちというサスペンスフルな展開がたまらない作品です。シャープなキャラクターと演出、巧妙なストーリーテリングでつい物語に引き込まれ、次の回、その次の回と見続けてしまうのです。平沢進さんの手によるオープニング曲も格好良く、まさに大人の観賞に耐え得る素晴らしい作品です。
本放送:2004年2月2日-5月17日
原作:今敏
監督:今敏
脚本:水上清資/吉野智美
作画監督:鈴木美千代/三原三千夫/安藤雅司/濱洲英喜/浜崎博嗣/板津匡覧/朝来昭子/川名久美子/赤堀重雄/山田勝哉/佐々木守/江口寿志/羽山淳一/井上俊之/阿部純子/うつのみや理
キャラクターデザイン:安藤雅司
主なキャスト:鷺月子(CV能登麻美子)/マロミ(CV桃井はるこ)/猪狩慶一(CV飯塚昭三)/馬庭光弘(CV関俊彦)/老人(CV槐柳二)/老婆(CV京田尚子)/川津明雄(CV内海賢二)/亀井正志(CV陶山章央)/鯛良優一(CV山口眞弓)/蛭川雅美(CV中嶋聡彦)/真壁俊介(CV藤原啓治)/蝶野晴美(CV三石琴乃)/牛山尚吾(CV津村まこと)/半田順次(CV郷里大輔)
製作:「妄想代理人」製作委員会
●第9位 『巌窟王』TVシリーズ全24話
月面都市ルナの社交界は、東方宇宙から来たという謎の紳士モンテ・クリスト伯のうわさで持ち切りになっていました。ある事件がもとでパリに移住したモンテ・クリスト伯は、コネクションをたどって法曹界の大物ヴィルフォールに接触します。その理由は……というストーリーです。
アレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』を原作とし、物語の舞台を宇宙時代に置き換えたシブいアニメです。元々はアルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』をアニメ化しようとしたのですが、著作権がクリアできず『虎よ、虎よ!』のモチーフになった『モンテ・クリスト伯』をアニメ化したそうです。男の復讐(ふくしゅう)譚というしっかりした骨格の上にさまざまなアレンジが加えられていて、大人だから楽しめる作品なのです。
本放送:2004年10月5日-2005年3月29日
原作:アレクサンドル・デュマ
監督:前田真宏
脚本:有原由良/神山修一/山下友弘/高橋ナツコ
作画監督:濱川修二郎/和田高明/鈴木俊二/石本英治/瀬尾康博/松本卓也/松原秀典/熊膳貴志/恩田尚之/宇佐美皓一/Lee Jong Hyun/Kwon Eun Kyung/Kim Dong-Joon
美術監督:佐々木洋/竹田悠介
キャラクターデザイン:松原秀典
主なキャスト:モンテ・クリスト伯爵、エドモン・ダンテス(CV中田譲治)/アルベール・ド・モルセール子爵(CV福山潤)/フランツ・デピネー男爵(CV平川大輔)/ユージェニー・ド・ダングラール(CV中村千絵)/ペッポ(CV中原麻衣)/ヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォール(CV三浦純子)/マクシミリアン・モレル(CV稲田徹)/フェルナン・ド・モルセール将軍、フェルナン・モンデゴ(CV小杉十郎太)/メルセデス・ド・モルセール(CV井上喜久子)/ダングラール男爵(CV辻親八)/ジェラール・ド・ヴィルフォール主席判事(CV秋元羊介)/アンドレア・カヴァルカンティ侯爵(CV関智一)/エデ(CV矢島晶子)/ガスパール・カドルッス(CV飛田展男)
製作:MEDIA FACTORY/GDH
●第10位 『言の葉の庭』
ある雨の日、靴職人を目指す高校生・秋月孝雄(タカオ)は庭園で年上の女性・雪野百香里(ユキノ)と出会い、やがて二人は親しくなっていきます。ユキノは高校の古文の先生ですが、やがて生徒の嫌がらせで退職しなくてはならなくなります。ユキノはタカオに地元・四国に帰ると告げるのですが……。
新海誠監督による劇場公開作品。まず雨のシーンが心に染み入るほど情感豊かで引き込まれます。本作では、タイトルどおり「言の葉」が大きな意味を持っています。ユキノが古文の先生で、彼女によって語られる万葉集の恋歌がこの作品を素晴らしいものにしています。切ない恋を描いたシブい作品なのです。
公開日:2013年5月31日
監督:新海誠
脚本:新海誠
作画監督:土屋堅一
美術監督:滝口比呂志
キャラクターデザイン:土屋堅一
主なキャスト:秋月孝雄(CV入野自由/子供時代CV関根航)/雪野百香里(CV花澤香菜)/タカオの母(CV平野文)/秋月翔太(CV前田剛)/寺本梨花(CV寺崎裕香)
製作会社:新海クリエイティブ/コミックス・ウェーブ・フィルム
「大人でも楽しめる! シブい内容のお薦めアニメ」を10作品挙げてみましたが、いかがだったでしょうか。今回紹介した中では今敏監督の『パプリカ』は特にお薦めしたい作品です。海外でも高く評価されている一作ですので、未見の人はぜひ見てみてください。
(高橋モータース@dcp)