日本は大丈夫?
霧の摩周湖なんてフレーズを聞くと、夢やロマンを連想しがちです。でも、有害な霧が発生している地域もあり、人体におよぶ影響も含めて、深い懸念が表明されていますよ。
12月に開催されたアメリカ地球物理学連合(American Geophysical Union)の総会において、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)の研究者チームは、カリフォルニア沿岸にたちこめる霧に、高濃度の水銀が含まれることを発表。たとえ霧を吸い込んだとしても、ただちに人体に悪影響が出るレベルではないものの心配されています。
主に夏の時期に、カリフォルニア沿岸は、海水面と水上の気温差から、深い霧に覆われることで知られてきました。ところが、1960年代と現代では、霧の発生日数が格段に増加。おまけに霧中のモノメチル水銀の濃度が、自然界で普通に雨滴に含まれる濃度の19倍にも達することが判明したとされています。
詳しい原因はまだ究明中のようです。とはいえ、モノメチル水銀は、腎臓病や神経障害、奇形児の出産といった危険につながる物質なので、まだ微量であるとはいえ、憂慮すべき事態と警鐘が鳴らされていますよ。
海上から陸地へと流れた霧は、生態系に影響を与えるモノメチル水銀を降らせることになります。早くも霧に包まれる地域に生息するクモから、高濃度の水銀が検出済み。人間がクモを食べることはありませんが、水銀を体中に蓄えたクモを鳥や動物が食べ、食物連鎖の過程で濃縮されていく可能性は否定できません。同地域で育つ植物にも、同じ危険があり、いずれは人間に影響がおよぶことになるかもしれないそうです。
現在のところ、研究結果はカリフォルニア沿岸の霧だけが対象ですけど、世界の他地域では大丈夫なのか? なんとも不気味な現象ですし、原因解明が待たれますよね。
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source: Popular Science
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)