1月10日は、文字通り110番の日である。110番の適切な使用を推進しようと1985年(昭和60年)12月に警察庁がこの日を定めたとのこと。しかし、実際110番を使用したことがあるという人は少ないのではないか。警察官についても、普段見かける交番のお巡りさんやドラマで見る刑事などから想像を膨らませることはできるが、知らないことも多いのでは。たとえば、「警察官に向いている人ってどんな人」とか「武術ができないとダメなの?」といった漠然とした疑問が湧くのではないか。そこで今回、警察官として約10年の勤務経験を有し、現在は警察に関するブログや相談業を展開している元警察官に警察についてのなぞも合わせて聞いてみた。
■警察官は元々武闘派でない人が多い
「警察官になるのに武術ができる必要はまったくありません。警察学校に入ってくる新人警察官の8割は武術未経験者です。残りの2割には柔道や剣道などの経験者もいますが、達人はごく少数です。警察官というと柔道や剣道、その他の格闘技などを高いレベルで身に付けていると思われがちですが、現実はまったく違います」(元警察官)
武闘派でもなければ、警察官に向いているのはどういった人なのだろうか。
「向いている人のタイプを一概にあげるのは難しいですが、逆に向いていないのは真面目すぎる人といえます。矛盾することや無駄なことなど、通常であればおかしいと感じる疑問で悩んでしまう人には向いていません。ある程度は割り切って考えるくらいの、合理的な部分を持つ人が向いています」(元警察官)
何やら意味深な回答であるが、一体それはどういうことなのか。真意を聞いた。
■業務上の矛盾を割り切ることも必要
「私の知り合いにも警察官を辞めた人がいます。辞めた理由は『警察が行っている交通の取り締まりの理由に耐えられなかったから』というものでした。警察の取り締まりは、交通事故の起きやすいところよりも、警察官が取り締まりをしやすいところやたくさん捕まえやすいところを選定して行うことがあります。そのような矛盾に対して、割り切ることができる人でないと続けていくことは難しいのです」(元警察官)
どんな仕事にも納得できないことや割り切れないことがつきものだが、警察という組織もまた同様のようだ。
では、交通整理や事件の解決以外には、どのような仕事があるのだろうか。
「長い警察官人生のほとんどを武術の指導だけで終わる警察官もいます。柔道や剣道の達人の場合、武術の指導をするポストにつく場合があります。この人たちは指導がメインで、現場の仕事をほとんど知ることもなく、警察官になって5年も経つのに、被害届やシートベルト違反の交通切符も作れないという人もいます」(元警察官)
警察官といってもいろいろな職種があるようだ。ドラマなどで見るようなユニークな刑事さんは実在するのかも聞いてみた。
■古畑任三郎もビックリ。型破りな刑事は実在する
「いい意味でも悪い意味でも個性的な刑事課員はたくさんいます。ある警部補刑事の夜勤の日には、必ず変死体が3体は発生するということがありました。周りからその人は『死神班長』と呼ばれていました。また、一日の勤務中にタバコを3箱吸う超ヘビースモーカー、離婚歴4回と婚約者に2回逃げられた鑑識班長、重要事件が入ると事件現場まで一般道を120キロ越えの超過速度で急行することで有名な警部補などがいました」(元警察官)
ドラマなどのキャラクターにも勝る、個性的な刑事もいるとのこと。さらに元警察官は、優秀な刑事についても教えてくれた。
「優秀な刑事では、この人が捜査に加わるかどうかで事件が解決するかの分かれ目になると、内部でいわれるほどの鑑識課員がいました。焼け焦げた死体を3日間かけて調べあげて、指紋から身元を特定したほど優秀な人でした」(元警察官)
日本の警察は優秀といわれていることを耳にすることがあるが、それもこういった人材があってのことだろう。公務員とはいえ、なかなか刺激的な職業ということが今回分かったのではないか。
「教えて!goo」では、 「アニメや漫画に登場する警察・刑事で好きなキャラクターは?」ということでみんなの意見を募集中だ。
●専門家プロフィール:元警察官
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)