その「ポイント還元」は本当にお得なのか? | ニコニコニュース

プレジデントオンライン

新発売のタブレット端末を買おうと秋葉原に行ったら、A店とB店がともに1万円で一番安かった。しかも、A店はセールでさらに35%引き、B店は50%ポイント還元実施中だった。「これはラッキー」と、よりお得と思えたB店で購入した。タブレット端末が1万円で手に入ったうえに、50%ポイント還元で5000円のパソコンソフトまでタダでゲットできた。

そして、満足顔で会社の先輩に新しいタブレットを自慢したら、「それって結局、1万5000円分の商品を1万円で購入したということだろ。ならA店で買ったほうが得だったんじゃないの?」といわれてしまった。「え? どういうことですか……」。

さて、読者のみなさんは理解できただろうか。

家電量販店でよく行っているポイント還元。インターネットの通販サイトなどでも広く導入されている。ポイントがどんどんたまって得した気分になる。ところが、ポイント還元の本質を知らないと、損をすることさえあるのだ。

今回の例を見てみよう。A店は35%引き、B店は50%ポイント還元だから、数字だけを見るとB店のほうがお得な感じがする。しかし、実際のところはどうなのか。

A店で購入すると、1万円のタブレット端末が6500円で購入できる。一方、B店はポイント還元なので、支払うのは1万円だ。ただし、5000円分のポイントがもらえるので、そのポイントを使ってパソコンソフトを手に入れた。確かに会社の先輩がいうように、実質的には1万円を払って、1万5000円分の商品(タブレット端末とパソコンソフト)を購入したことになる。

ということは、5000円の値引きと考えることができる。そして、1万5000円から1万円への値引率は「5000÷15000=0.333…」だから、約33.3%の値引きということになる。一方、A店の値引率は35%だから、値引率で比べると、A店のほうがお得ということになってしまうのだ。

同じ要領で次の問題を考えてみてほしい。「1000円の商品を買うとする。C店は18%引きのセール中で、D店は25%のポイント還元をしている。どちらの店で買ったほうが得か」。

D店は250円分のポイントがもらえ、そのポイントで250円の商品をさらに買うと、実質的に1250円分の商品を1000円で購入することになる。つまり「250÷1250=0.2」で、値引率は20%だ。したがって、D店のほうがC店の18%引きセールよりもお得ということになる。

このように、値引きとポイント還元を単純に数字だけで比べると落とし穴にはまる危険性がある。たとえば、「50%の割引と50%のポイント還元は同じではない」ということを是非おさえておきたい。

もちろん、ポイント還元の本質を知らずに利用しても、損をしたと感じることは実際にはほとんどないだろう。しかし、世の中にはこうした数字のカラクリがいろいろあったりする。一歩踏み込んで本質を知るという視点を持つことが、「数字に強くなる」ためには必要なのだ。