中国人民ラジオ局のウェブサイト・央広網は5日、東京をはじめとする日本国内の都市において落ち葉や汚泥を使った発熱・発電の取り組みが進んでいることを紹介し、「死角と見なされてきた所が、大都市での新エネルギー生産地になりつつある」と伝えた。
記事は例として、東京品川区の大井ふ頭中央海浜公園を紹介。近隣にある16カ所の公園から集められる年間約60トンの落ち葉や枝を粉砕、乾燥したうえで燃やして熱エネルギーを生み出し、同公園のスポーツセンターで必要な熱エネルギーの7-8割を賄っているとした。また、木造家屋を解体した際に出る廃材や、下水道の汚泥から出るガス、暖房の余熱なども新たなエネルギー源となっており、日本政府も大々的な研究や普及に乗り出していると伝えた。
そのうえで、「廃棄物を宝に変える」ことへの注力は日本にとって少なくとも「一石三鳥」であるとし、「エネルギー不足を緩和する有効な手段」、「環境保護にもつながる」、「地産地消意識の向上」の3点をメリットとして挙げた。また、現地で出た破棄物を現地で利用するという「地産地消」は、ゴミ処理施設などの維持費による地方財政難も緩和するメリットがあるとした。
さらに、日本国内の関係者が「リターンを得るには10年単位の時間と、企業・行政・民間の連携が必要」と説明したことを紹介する一方、「それでも日本の都市機能づくり、運営体制は成熟しており、新エネルギー生産のための試みは、発展の方向へと進んでいることを示すものだ」と評した。
中国メディアでは先日も、稲の収穫期に大量に出る稲わらについて「中国ではその場で燃やして大気汚染の原因となっているが、日本では再生エネルギーを作っている」と紹介する記事が掲載された。かつては不要なものとして捨てられるばかりだった物を有効に再利用する考え方や技術において、日本は中国よりも進んでいると言える。急速な発展が一段落するとともに環境問題がクローズアップされる昨今、量より質を求める社会の変化に伴って、中国国内でもさらに日本の再利用技術を取り入れようとする動きが出てくるはずだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)