劇団☆新感線の2016年春興行「乱鶯(みだれうぐいす)」の製作発表会見が13日に都内で行われ、主演の古田新太たちが意気込みを語った。この日は稲森いずみ、大東駿介、清水くるみ、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、演出のいのうえひでのり、脚本の倉持裕らも出席した。
旗揚げから36年目を迎える今春。「阿修羅城の瞳」「アテルイ」など、「いのうえ歌舞伎」の傑作を数々生み出してきた新橋演舞場で、およそ6年半ぶりに劇団☆新感線の新作が上演されることが決定。元盗賊の頭が、自分を救ってくれた人たちに必死に恩返しをしようとするさまを描き出す内容だといい、今回は「いのうえ歌舞伎<<黒>>BLACK」と銘打った、人情味あふれる大人の本格派時代劇に挑戦することになった。
いのうえは、「昔は、新橋演舞場や明治座などで、人情やチャンバラなどがある、時代劇らしい商業演劇がたくさん上演されていましたが、今はテレビも含めてそういうものが少なくなった。そういった商業演劇を目指そうということで、いのうえ歌舞伎というものは始まりました。いつもの新感線は少年マンガ的な味わいがあると思いますが、今回はより大人っぽいというか、ビターな味わいのいのうえ歌舞伎を作ろうということで、少しリアルな形の時代劇をやろうと思います」と意気込む。
本作の脚本には、劇団ペンギンプルペイルパイルズを主宰するかたわら、テレビドラマ「弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~」の脚本を手がけたことも話題の倉持が参加。「いのうえさんからこんなテイストの作品はどうかと言われたのが、『許されざる者』『無法松の一生』『椿三十郎』というような作品。昔はやんちゃをしていた人が落ち着いて、重い腰を上げるという渋みはカッコいいなと思いました」と語ると、いのうえも「今回は(江戸の市井の人々の)リアルなテイストの生活感とか情感などが絡み合って、やがて大団円に向かうといった話をやりたかった」とコメント。
それを受けた古田は「みんなガタガタ言っていますが、しょせん新感線なんで。倉持の世界観があるとしても、俺たちがやれば新感線の芝居になると思います」と宣言しつつも、「だからできるだけ下ネタを入れていこうと思います」と付け加え、会場を笑わせた。(取材・文:壬生智裕)
舞台「乱鶯(みだれうぐいす)」は3月5日~4月1日まで新橋演舞場にて上演(大阪、北九州公演もあり)