CES 2016に出展したMSIは,同社のブースでゲーマー向けの新製品をいくつか展示していた。そのうち,視線追跡デバイス搭載のゲーマー向けノートPC「GT72 Dominator Pro Tobii」は,別記事で紹介済みなので,本稿では,極めて個性的な特徴を備えたデスクトップPC 2製品を選んでレポートしたい。
■まさかのMac Pro対抗? 小さな樽型ハイエンドゲームPC,Vortex
まずは,奇抜なデザインのボディを採用するゲーマー向け小型デスクトップPC「Vortex」を紹介しよう。下の写真を見ると分かるように,底面吸気,上面排気の小さな樽型PCと言ってよく,イメージとしてはAppleの「Mac Pro」に近い。
このコンパクトな樽形筐体の中には,「GeForce GTX 980」か,「GeForce GTX 960」を載せたMXMカードを2-way SLI構成で搭載しているのだという。残念ながら筐体内部は見せてもらえなかったのだが,ノートPC向けの選別品GeForce GTX 980だとしても,2基搭載できるというのは,なかなか衝撃的だ。
小さいので動作音が気になるところだが,MSIによると,冷却機構は,放熱能力と静音性を両立したものになっており,実際,騒音レベルはアイドル時に22dBA程度,高負荷時にも最大37dBA程度に抑えられているそうだ。
インタフェース類は本体背面側に並んでいるが,見る限り,その構成はMini DisplayPort×2,HDMI(Type A)×2というビデオ出力,3.5mmミニピンのサウンド入出力と,すべてUSB 3.0対応と思われるUSB Type-Aポート×4,有線LAN用のRJ45ポート×2,Thunderbolt 3(Type-C)ポート×2という構成になっていた。Vortexは,2系統の有線LAN接続と1系統の無線LAN接続を使ってパケットの流れを最適化することによりネットワーク速度を引き上げようとするRivet Networksの技術「Killer DoubleShot-X3 Pro」に対応しているとのことなので,有線LAN端子はそのために用意してあるのだろう。
発売時期は2016年第2四半期の予定で,日本における価格はGeForce GTX 960の2-way SLI構成モデルで30万円台前半からとのこと。さすがに相当高いマシンになりそうだが,小型でも性能をあきらめないゲーマー向けデスクトップPCとして注目を集める製品になりそうだ。
■フルサイズのグラフィックスカードを背面に取り付けたゲーマー向けAIOがついに製品化
もう1つの注目すべき製品は,27インチ液晶パネルを搭載した液晶一体型ゲーマー向けデスクトップPC「GAMING 27XT 6QE」だ。
さて,本体正面から見たGAMING 27XT 6QEは,大きな液晶パネルとその下に装備されたステレオスピーカーが目を引くのと,いかにもゲーマー向けモデルでございますといった黒と赤のカラーリングを除けば,ごく普通のAiOといった雰囲気である
だが,背面に回ると,GAMING 27XT 6QEが普通でないことは一発で分かる。AX24と比べてさらに派手になった「単体グラフィックスカードを覆うボックス部」が,筐体向かって右側で強烈に自己主張しているからである。ここにはPCI Express x16スロットがあり,「GeForce GTX 980 Ti」搭載カードや「GeForce GTX TITAN X」搭載カードを装着可能だそうだ。
液晶パネルは,リフレッシュレート144Hzに対応した1920×1080ドットか,リフレッシュレート60Hzの4K解像度を搭載するモデルを用意しているとのこと。CPUはデスクトップPC向けの「Core i7-6700」で,メインメモリ容量は最大64GBで,内蔵ストレージとしてM.2接続型のSSDを2基と,3.5インチHDDを1基搭載できるという。
米国での発売時期は2016年6月をしており,メーカー想定売価は1699ドル(約20万1000円)からとのこと。こちらも安価な製品ではないが,デスクトップPC用グラフィックスカードを装着できる液晶一体型デスクトップPCという唯一無二の特徴に,惹かれる人は少なくなさそうだ。
リンク:MSI 日本語公式Webサイト
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