最近では、友達以上恋人未満の男性、通称“仮氏”を作る女性がいるとか。昨年のクリスマスには、ひとりぼっちになるのがイヤで急きょ仮氏探しに奔走した人もいたと聞く。
ちなみに“仮氏”は、『夢をかなえるゾウ』の著者・水野敬也が提唱する言葉で、男性が隣にいる環境に慣れ、いざ本命が現れたときに免疫を作るためともいわれる。
「お互いに本命じゃないから気楽」というのは、ゆうみさん(32才)。
「私には30代の独身と、40代の既婚の仮氏がいます。ご飯を食べたり、遊びに行ったり、気分が乗れば肉体的な関係を持つことも…。二人とも私と深い仲になろうなんて思っていませんし、向こうにも本命がいても構いません。お互いに割り切った関係で、会いたい時に会うってよくないですか? 本命とは、気分が乗らなくても嫌われたくないから、義務で会なきゃいけないときもあるし。羽振りのいい給料日の仮氏はモテモテですよー!」
恋愛だけを楽しんでいるかと思えば、ゆうみさんには結婚願望がある。
「いい人が現れたら、今すぐ結婚したいですよー! 本命ができたらもちろん仮氏とはさよならします。そういう気軽さもいいですよね」
恋愛というよりは、遊びの感覚だ。人によってはあえて後腐れのない既婚男性をターゲットにするとか。その他、高スペックの男性には「きっと結婚はしてもらえない」とわかっているからあえて仮氏にするという人や、またその逆もしかり、だそうだ。
そんな中、「仮氏との付き合いは、恋愛の予行練習のようなもの」と語るのは、かおるさん(30才)。
「大学2年の春に彼と別れてから、恋愛をしていません。いいな、と思う人がいても、どうやってアプローチしたらいいのか忘れてオロオロしていたんです。それから恋愛はある意味筋肉と同じで、日々のトレーニングが必要と考え、昨夏から仮氏っぽい人とお付き合いしてます。男性との距離感の取り方や、甘い言葉をかけられたときのリアクション、もちろんセックスのほうも、昔の感覚がだいぶ戻ってきました。仮氏のことは嫌いじゃないけど、結婚したいと思うほど好きにはなれなくて。でもとにかく“フリーじゃない”というところから脱出できたのが本当に嬉しい」
かおるさんは、ただ恋愛ごっこがしたいだけのように見える。まるで中学生のカップルみたいだ。だが、たとえ仮であっても「彼がいる」ということが、独女の心に余裕を持たせるのだそうだ。
「今まで全然モテなかったのに、仮氏ができてからおしゃれやメイクにも気を使うようになったせいか、容姿を褒められたり、思いもよらぬ相手から告白されたりするようになりました」というりなさん(35才)のコメントも印象的だった。
見られていると思う意識の違いでキレイになれるのだろう。それはいい効果かもしれないが、なぜ相手が“仮”でないといけないのだろう……? そこがわからない。
仮氏という予行練習がないと、恋愛をするのが不安なのだろうか。ときには直感にまかせてドーンとぶつかってみるのも人生には必要なことだと思う。そもそも恋愛や結婚は、もう少しロマンチックで、かつドラマチックであって欲しいと思うが、みなさんはいかがだろうか? (パンチ広沢)