現在、日本で話題沸騰中のアニメ『おそ松さん』(テレビ東京系)が、韓国でもひそかに人気を集めている。日本では昨年10月から放送されている同作品は、マンガ家・赤塚不二夫の誕生80周年を記念し、代表作『おそ松くん』を約27年ぶりにアニメ化したもので、おそ松ら六つ子が成長して大人になった姿を描く、完全オリジナルストーリー。日本では女性ファンを中心に絶大な支持を得ているが、韓国も同じく“おそ松girl”を名乗る女性ファンが急上しているのだ。
といっても、韓国で『おそ松さん』はテレビで放送はされておらず、ネット上にアップロードされた動画の口コミで、その名を広げている状態だ。櫻井孝宏をはじめとする豪華すぎる声優キャストや、韓国でも人気のアニメ『銀魂』の藤田陽一監督の名前だけでも、韓国の日本アニメオタクにとっては必見の作品になっている。
また、1988年放送の第2作目『おそ松くん』が『ユッ家の六つ子』というタイトルで現在も韓国で放送されており、親しみを感じる人も少なからずいるようだ。
というわけで、韓国では『おそ松さん』のテレビ放送を期待するファンは多いが、残念ながらその可能性は極めて低いとか。何しろ、そのカオスな展開や下ネタの連発は、韓国のテレビ番組審議会からすれば、到底許されないレベルなのだ。
「あんなに下ネタを連発している番組を韓国で放送しようとすれば、編集・脚色が大変。18禁が付くのは大前提としても、そのまま放送するのは無理でしょうね」(テレビ関係者)
しかし、そのカオスさと下ネタこそが、韓国人にも受けている大きな理由のひとつともいえる。韓国ファンのブログには「第1話の演出を見て、度肝を抜かれました。こりゃ、これからが大変だ(笑)。個人的には、六つ子がニートってのが良い。第2話の、就職しようエピソードは、笑ってるのになんだか泣けてきた」「第1話を見て、変なアニメだと思い、3話まで見ても人気の理由がいまいち。それが、第4・5話でいきなりどハマりです。アホらしさが最高に面白いし、下ネタもここまで言われると逆に気持ちいいくらい」「私みたいな声優ファンにはたまらない作品です。特に櫻井・神谷・福山・鈴村さんなど、2000年代初期に韓国でも大人気だった声優さんが勢ぞろいで、本当に幸せ」といった書き込みや、各話の感想文もあふれる。
その人気を証明するかのように、こんなトラブルも。とあるコスプレ衣装専門ショップが、おそ松ら着用のパーカーを無断で製作、予約販売。そのことを知ったおそ松さん製作委員会から販売中止を命じられ、返金騒ぎになったという。多くの韓国人コスプレイヤーがガッカリしたのは言うまでもない。
今月から第2クールも始まり、まだまだ伝説を生み出すであろう『おそ松さん』。韓国のおそ松girlたちにも、心置きなく作品を楽しんでもらいたいものだ。
(文=李ハナ)