2015年、もはやVRの活用はゲーム、動画視聴などのエンターテイメントや企業プロモーションにとどまらなくなりました。米国では、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルなど大手の報道機関がVRを使ったジャーナリズムを展開しています。そして今、スポーツの分野でも、トレーニングにVRが活用され始めています。
アメリカン・フットボールでトップまで勝ち上がるためには、身体能力だけでなく、綿密に練られた戦略やメンタルトレーニングが必要です。これまでも、ビデオ撮影された試合の様子をチームで繰り返し分析し、次の試合のためのシミュレーションがされてきました。でも、もし記録した動画で起きていることを、その場にいるかのように「体験」できたら?
人の記憶は曖昧です。それに、頭では理解しているつもりでも、チームメイトや対戦相手から見たときに、その場がどう見えているのかを追体験するのは、なかなかむずかしいものです。VRを活用したトレーニングは、それを可能にします。これまでの自分のフォームが適切なのか、対戦相手を出し抜くためと考えていた戦略は本当に効果的だったのかを複数の視点から見ることができます。
スポーツメディアSports IllustratedとWIREDのコラボレーションで制作された動画では、アイスホッケーのチームの練習風景も紹介されています。こちらでは、画面の中の出来事に対してインタラクティブに反応するスティックを使い、ゲームを楽しむようにしてトレーニングができます。VRを再生できる設備さえあれば、自宅などでもトレーニングできるのも便利ですね。
スポーツトレーニングにVRが導入されること自体が未来的で変化だと見る向きもあるでしょう。ですが、それ以上に大切なことは、このようなアプローチが普及することで、勝利に向けた戦略的なアプローチが今まで以上に優先されることなのかもしれません。ロジカルな分析やPDCAサイクルは、これまで以上に大きな結果を出す可能性があるからです。
source: Sports Illustrated
(高橋ミレイ)