スコアも中身も初戦より価値があった。若き日本が4ゴール。1試合を残して準々決勝一番乗りを果たした。手倉森監督は「メンバーを替えて総合力を示せたのは良かった。アタッカー陣が点を取ってくれたので、今後の戦いに勢いを持ってやってくれたらいい」と手応えを口にした。
先発メンバーを6人入れ替えて臨んだ。序盤は初出場の奈良や亀川らの動きに硬さが見え、細かくつなぐタイの攻めに嫌な雰囲気も漂った。それを振り払ったのはパス回し。守備ラインに主将の遠藤も顔を出してボールをつなぐと、チームは落ち着きを取り戻した。
ここに緩急を効かせた。前半27分。矢島のパスから遠藤が前方に小気味良く浮き球を送ると、鈴木が豪快に右足ボレーを決めた。手倉森監督が掲げるのは柔軟性。攻め急いだ初戦の反省を生かして主導権を握ると、後半に久保が2点を挙げるなど勝負を決めた。
守備陣が慌てる場面があったのは課題だが、主力を休ませつつ第2戦で1次リーグ突破を決めたのは大きい。一発勝負の準々決勝に向け、次戦も中心選手を温存する余裕が生まれた。「ピッチに送り出す選手は多い方がいい。一戦一戦全力で戦いながら、決勝トーナメントに余力も残したい」。指揮官の思惑通りの快勝だった。