ゲームをしたり、調べ物やメールをしたり…。スマホやパソコンを使っていて、疲れ目や肩こりなどを感じたことがある人も多いだろう。近年、パソコンやスマホを長時間扱うことで、このような「VDT症候群」に陥る人が増えているという。ちなみに、「VDT」とは「ビジュアル・ディスプレイ・ターミナルズ」の略。あまり聞きなれないが、パソコンやスマホのディスプレイを見続けることで現れる身体の変調の総称だそう。具体的にどのような症状が懸念されるのだろうか? 新宿東口眼科医院の新川恭浩院長にお話を聞いた。
「一番多いのは、目の酷使による眼精疲労とドライアイです。これらは、決して軽視できるものではなく、重症化すると目の表面がいびつになり、視力障がいや目を開けられないほどの痛みをともなう目の表面の炎症など、恐ろしい症状が起きます。それまで目に異常がない人でも、突然VDT症候群になる人もいるので注意が必要です」(新川院長、以下同)
さらには、VDT症候群は目だけではなく、全身や心にも悪影響を及ぼすとのこと。
「パソコンやスマホを扱っている時は、知らず知らずのうちに同じ姿勢を続けています。そうすると、身体が血流不良になり、肩こりや頭痛、筋肉痛なども慢性化してしまうのです。また、仕事でパソコン作業をする会社員の中には、精神的に不安定となり、イライラして仕事に集中できず、ひどいとうつ状態に陥る方もいます。若い世代から中高年まで幅広く見られるこうした気持ちの落ち込みも、VDT症候群の症状のひとつになると思います」
とはいえ、パソコンやスマホを全く使わないのも難しい。そこで、VDT症候群に陥らないための予防策を教わった。
(1)パソコンやスマホを使用するうえで工夫をする
まず、ディスプレイから30〜40cm離れて、楽な姿勢で見るようにしよう。文字サイズを大きめにするのも、目への負担を軽くするのに効果的だ。また、ディスプレイの光が強すぎても弱すぎても目にダメージを与えてしまうので、部屋の明るさに応じてディスプレイの明るさを調整するように心がけよう。最近は、ディスプレイを周囲の明るさにあわせて自動調整してくれる機能もあるので活用することが望ましい。
(2)ブルーライトを浴びる量をなるべく減らす
パソコンやスマホから放たれるブルーライトは、人間の体内時計を調節する役割があるため、特に夜間などは過剰に浴びると脳の覚醒を促進してしまう。その結果、生活リズムが乱れ、不眠や倦怠感につながる可能性がある。そのため、寝る2時間前には、スマホやパソコンの操作をやめて、ブルーライトを遠ざけよう。
(3)とにかく目を休ませる
パソコンやスマホに集中していると、無意識のうちにまばたきが減ってしまいドライアイや眼精疲労を引き起こしてしまいがち。そこで、1時間ディスプレイを見続けたら、しっかり目を休ませよう。5分間、目を閉じるだけでもかなり効果的。目の周りの筋肉をマッサージしたり、電子レンジでおしぼりを温めてまぶたにのせたりすると、血流がよくなり疲れもとれやすい。
(4)ストレッチをする
ひとつの姿勢で居続けないよう、短時間でもいいので、席を離れてストレッチをして、筋肉の緊張をほぐそう。仕事などで席を離れるのが難しければ、座ったまま両腕を下にダラっと落とし、肩回しをするだけでも十分効果的。慢性的な血流の滞りによる全身の凝りを和らげることができる。
仕事にせよプライベートにせよ、知らず知らずのうちにパソコンやスマホを眺める時間は多くなってしまうもの。VDT症候群に悩まされないためにも、目や体を意識的にいたわることが賢明といえるだろう。
(末吉陽子/やじろべえ)
記事提供/『R25スマホ情報局』
※当記事は2016年01月16日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。