先日、「教えて!gooウォッチ」では、「出世意欲が少ないのはどうして?ニコニコニュースのユーザーの意見をまとめてみた」の記事をリリース。ニコニコニュースのユーザーの意見を取り上げながら、若者たちが偉くなりたくない理由をご紹介した。主な理由は「出世しても給与は微々たるもの」「休みが減って責任が増える」といったものだが、裏を返せば景気の良かった昔のように出世すれば給与が上がる。
また立場が偉くなることで遣り甲斐につながり、休みたい時に休めるのであれば「出世したい」と思う若者は増えるのかもしれない。だが、それを実現するのは一筋縄ではいかないということで、平でいることの幸せに落ち着いている若者が多いのだろう。今回は元記事では触れられなかった意見が提供先のニコニコニュースで幾多見られたため、偉くなりたくない若者たちの本音をさらに掘り下げてみたい。
■会社員の安定と精神的な安定
まずコメントを遡って目に留まったのは、出世するよりも平でいた方が仕事の安定に繋がるという意見である。
「会社員の四割が派遣・契約である以上、出世より定年までの安定が先でしょう」(塵塚怪翁さん)、「責任取る立場だったら責任逃れの生贄にもなるし、(中略)安定を求めるのは自然でしょ」(名も無き市民さん)、「現実として出世するほど私生活が苦しくなるからね。年功序列や終身雇用があれば話は別なのかもしれんが」(シュウさん)
元記事ではこうした考えにリストラの心配をする声があったが、平という立場で仕事の実績を積んでいくということなのだろう。ほかにも精神的な面での安定を求める声も見られた。
「出世して(中略)責任負わされるくらいなら、今までと同じ仕事してる方が精神的にも給料面でもマシだもん」(カマドウマさん)、「出世してストレスで病気になったら元も子もないもんな」(たいそんさん)
人によっては「平でいたところで贅沢をしなければ、それなりに暮らせるから」と考える人もおり、そういった生活に幸せを感じている人も少なくないようだ。
■変わりつつある若者の幸福感
それこそ偉くなることは仕事の意欲に繋がるだけではなく、出世=幸せという価値観が、世代が上がるほどあったように思える。今の若者たちはどうなのだろうか?
「人の幸せなど人それぞれ、出世だけが幸せでは無い」(inudru2さん)、「幸せの多様化も進んだ。だから、みんな同じように出世して、結婚して、というのが無くなったんじゃ? 出世も結婚もリスクばかりが目立って……」(ささやかなるさん)
関連するコメントとして「仕事して生きるだけの人生は嫌って事だろう」(やまねさん)、「出世欲がなくなった一番の原因は娯楽が増え低所得でも享受できるようになったことが大きいでしょ」(o100さん)という気になる意見も。
仕事=人生と考えない人にとって、出世=幸せという価値観は変わりつつあるようである。仕事漬けになるよりも好きなことをしていたい。その価値観が若者を中心に確立されつつあるが、どこか若者らしからぬ意欲にちょっと寂しい感じがする人もいるのではないか。
出世をする旨味が得られれば「出世したい」という若者もいる声を企業側が少しでも反映できれば、こうした若者の価値観も少しずつ変わっていくのかもしれない。
柚木深つばさ(Yukimi Tsubasa)